岸田内閣関連株、キーワードは「経産省」

 総選挙後には、岸田首相の掲げる「成長と分配の好循環」という枠組みに自民・公明両党が肉付けを進めていくことになりそうです。岸田氏周辺は事実上の後見人役で元経産相の甘利明幹事長や萩生田光一経産相ら経産省人脈で固められています。

 そこで、岸田内閣関連株も経産省という共通ワードでくくってみました。

 経産・商工族トップの甘利氏が熱心なのは経済安全保障。岸田氏と自民党総裁の椅子を争った高市早苗政調会長が力を入れる分野でもあります。

 ひと口に経済安全保障といっても、テロ対策や戦争といった軍事的な色合いの濃いものから、先端技術の流出防止、原材料や部品調達ルートの確保など切り口は多様です。つかみどころのない分野だけに、今後の進展の余地は大きいでしょう。

 AI(人工知能)を駆使した言語解析技術を持つFRONTEO(2158)は、東大先端化学技術研究センターと経済安全保障上のリスクが企業に与える影響について共同研究を始めています。

 経済安保分野では、政府が1,000億円の基金を創設し、先端技術の開発を加速する方針です。これに関して、大容量超高速通信を可能にする量子ドットレーザー技術で先端を行くQDレーザ(6613)が注目されます。

 内政分野では、新型コロナ対策が引き続き大きな課題です。新型コロナ対策の主軸は厚生労働省ですが、中小企業対策は経産省の仕事。コロナワクチン普及後も新型コロナ自体は根絶できず、今後も流行期の経済活動停滞は避けられないようです。

 一定の条件下での持続化給付金の素早い審査と支給は内閣支持率にも影響する重要課題です。中小企業の助成金診断システムを提供するライトアップ(6580)など新興IT企業の活躍の場が広がりそうです。

 また、学校教育現場のICT(情報通信技術)化も大きな課題です。人材育成面での立ち遅れを指摘する声が産業界から強く、産業界の意見を吸い上げる経産相人脈の後押しが、岸田政権による教育のICT化を促進することになりそうです。

 学校向けICTのチエル(3933)は英語の4技能(読む、書く、聞く、話す)教材が経産省の補助金を得るなど政府の路線とぴったり息が合っているようです。

 KADOKAWA(9468)はニコニコ動画が自民党寄りとされています。ネットを活用した通信制のN高校で培ったノウハウはコロナ禍のリモート授業で一躍脚光を浴びました。電子書籍にも力を入れており、紙からタブレットへ、対面からリモートへという時代の流れを先取りしています。

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