★筆者が選ぶ10万円株は2ページ3ページに掲載しています。

経済安全保障の主役は半導体

 岸田政権の目玉政策のひとつに「経済安全保障」があります。あまり耳慣れない言葉ですが、軍事面ではなく経済面における安全保障に注力していく方針と捉えていいでしょう。

 これは新たな「防衛力」と表現することもでき、株式市場にも影響を与えると思われます。

 かつてオイルショック時には石油危機を反映して「エネルギー安全保障」が提唱され、低食料自給率への危機感から「食糧安全保障」が政策に上ったこともあります。

「軍事転用可能な技術の流出阻止」はすでに取り組まれてきたことですが、米中対立を背景としてあらためて注目されています。

 2020年にはトランプ政権下で、米国の安全保障上の脅威になる通信機器とサービスのリストに「華為技術(ファーウェイ)」や「中興通訊(ZTE)」など中国企業5社が指定されました。

 その後トランプ氏は、中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の運営会社である「北京字節跳動科技(ByteDance)」との取引を禁止する大統領令にも署名しました。

 バイデン政権においてもこのスタンスは継続され、中国のテクノロジー企業に対する強硬姿勢がさらに強まり、半導体をはじめとする最先端技術と製造設備に関して中国の調達ルートを断つ“作戦”をとっています。

 半導体の受託生産で世界最大手の台湾TSMCが、先ごろ日本に新工場を建設すると発表したことも、(対中国を見据えた)経済安全保障と無関係ではないでしょう。

 このことからは、日本の半導体関連企業はさらに追い風を受けるとも考えられます。

 半導体製造装置大手の「東京エレクトロン(8035・東証1部)」、半導体シリコンウエハ世界最大手の「信越化学工業(4063・東証1部)」の株価を見ると、その様子が浮き彫りです。これだけ株価が上昇してもまだ高値圏を維持し、さらに動意を見せています。

東京エレクトロン(8035・東証1部)の2年週足チャート

信越化学工業(4063・東証1部)の2年週足チャート

  この2銘柄が象徴するように、これまで半導体関連株が買われる局面は多くありましたが、値がさ株がほとんどで、あまり個人投資家には親しみがないセクターだったかもしれません。

 しかし、半導体を取り巻く環境がここでもう一度大きく変化していることは明らかで、半導体関連株がさらに注目されていく可能性があると考えられます。

 できるだけ投資がしやすい低位半導体関連株を探りましょう(注:最低単位10万円をわずかに超える銘柄もあります)。ややニッチ分野に位置する銘柄です。