株式市場は「分配」を嫌う?

 では、国民感情と切り離し、投資家目線だけで見てみましょう。

 新政権が株式市場にとってプラスになればOKなわけですが、今度の政権は、株式市場にとってプラスになる政権だと思いますか?

 当初、市場で嫌われていたのが、個人の金融所得課税見直しです。これに関しては、さすが“話を聞く総理”だけに、「凍結する」と明言されていました。とはいえ、選択肢として挙げている以上、どこかで必ず見直し議論は蒸し返されるでしょう。

 また、選挙の争点は新型コロナと経済対策ですが、政策のキーワードは「成長」ではなく「分配」です。こちらに関しては、野党も同じ。今の日本にとって、「分配」に重きを置く経済政策は重要だと思います。ただ、株式市場の住民は、それをプラスととらえる生き物でしたっけ?

外国人投資家はどう感じているのか

 では、政治の安定という観点ではどうでしょう?

 岸田内閣発足直後、最初に行われた世論調査結果では、過去最低or過去2番目に低い水準(過去最低は2009年の麻生政権)の内閣支持率を各報道機関が報じていました。当初のハードルが低いだけに、ここからは上がるしかない! ともいえます。とはいえ、現時点で……長期政権になると思いますか?

 現時点では、誰にも答えはわかりません。

 あくまで筆者が思うには…ですが、これら全項目に関して「思わない」ですね。皆さんはいかがでしょう?

 そんなことより重要なのは、外国人投資家はどう感じるか、ですね。

 ただ、これはなんとなく答えをみんな知っている気がします。自民党総裁選で決着がついたとき、日本の株価は下がりましたよね。外国人投資家はものすごく売りましたよね。しかし、手前で猛烈に買っていた分を売った手口といえ、ここから売るとはならないともいえます。

 ただ、ここから選挙以降、日本の政治を買いカタリストにして、株を買うという話にもなるでしょうか

 結局は、米国株が上がれば上がる、それだけの平常運行の日本株に戻るのではないでしょうか。相場の主要テーマが政治だった2012年や2005年は別ですが、今は日本の政治が相場の主要テーマとはいえません

 これは、前回の2017年の衆院選相場も同じでした。前年がBrexit(英国の欧州連合離脱)ショックやトランプ米大統領誕生で荒れた後ということもあり、市場の関心はトランプ氏の対中発言に集まっていました。この年の衆院選では、自民党の議席数は横ばいと、大勝でもなければ大敗でもない決着。勝敗ラインは「与党で過半数(233議席)」と弱気な設定をした今回の衆院選とそっくりですね。メインシナリオは“現状維持”です。