つみたてNISAの対象商品にないものは?

解答

2.主に債券で運用を行う投資信託

 実はつみたてNISAの対象商品には、主に債券を投資対象とする、いわゆる「債券ファンド」は含まれていません。

 一般的に債券は、株式と比べ値動きが少なく、比較的安定した資産であるとされています。また、金利が低下する景気悪化局面に強い資産でもあり、株式と異なる値動きをすることから、「守り」の要素が強い資産としても知られています。

 このように債券は、分散投資の一つのパーツとして重要な役割を担っており、単体で保有するよりも、他の資産と組み合わせることで本領を発揮します。

なぜ守りの債券ファンドは、つみたてNISA対象じゃないの?

 つみたてNISAには、年間40万円という非課税枠の上限があります。「守り」の要素が強い債券よりも、「攻め」の要素が強い株式を中心にポートフォリオを構築して資産を作り、しっかり「増やす」ことに注力してほしいというのが、制度に込められたメッセージです。

 だからといって、つみたてNISAという制度が債券への投資を否定しているかというと、決してそういうわけではありません。

 クイズの選択肢の3に挙げた「株式と債券の双方を組み合わせて運用を行う投資信託」とは、いわゆるバランス型(資産複合型)の投資信託を指します。先述したように、分散投資の一パーツとして、バランス型で部分的に債券を取り入れることは、資産形成の観点でも理にかなっています。

つみたてNISAの投資信託対象商品のイメージ

※「株式型」は株式で運用を行う投資信託、「資産複合型」は株式と債券などの双方を組み合わせて運用を行う投資信託を対象とする
出所:金融庁「つみたてNISAについて」平成29年7月公表資料より

つみたてNISAだけで「資産分散」するには限度がある

 以上をまとめると、商品の選択肢が限定されているつみたてNISAで、複数資産を組み合わせたポートフォリオを作ることは現実には難しいため、過度に「資産分散」にこだわる必要はないでしょう。

 筆者が、本連載やトウシルを通じて、つみたてNISAで選ぶべき商品として第一に「全世界株式インデックス」を挙げるのは、「全世界株式」なら分散の一つの形態である地域分散が実現できるからです。

 米国株式のS&P500指数も決して悪い選択肢ではありませんが、どの地域にどのタイミングでスポットライトが当たるかは分からないので、地域分散の観点から日本株や新興国株式も取り入れることをおすすめしています。

 投資初心者で、どうしても株式ファンドに抵抗があるという方は、クイズの選択肢の3に挙げた「株式と債券の双方を組み合わせて運用を行う投資信託」=バランス型(資産複合型)を検討してもよいでしょう。バランス型なら、ファンドの中で「勝手に」資産配分や地域配分を調整してくれるので便利です。

 安定運用から積極運用まで、さまざまなタイプのファンドがそろっているので、自分のリスク許容度や好みに合わせて選ぶとよいでしょう。

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