自民党勝利なら、この株が上がる

 一方、岸田内閣は経産省内閣とも呼ばれています。自民党ナンバー2として岸田氏を支える甘利明幹事長は商工族議員のトップ。岸田氏は萩生田光一経産相とも近く、秘書官に嶋田隆・元経済産業次官と荒井勝喜・商務情報政策局長を起用しました。

 このため、選挙で自民党が議席を減らしても、野党に転落する事態にならない限り、原発再稼働の加速が予想されます。

 菅義偉前首相の掲げた「2030年度46%削減」の脱炭素路線の実現には、石油・石炭依存度を下げ、代わりに原子力発電でエネルギーを賄うのが現実的だというのが自民党の考え方です。

 東京電力ホールディングス(9501)をはじめとする電力会社や日立製作所(6501)など原子力大手の業績拡大をはやす相場が予想されます。

 経産省主導で構想が具体化しつつある「大学ファンド」も注目点です。官民合わせて10兆円規模の資金を拠出し、運用益を研究開発支援に充てるプロジェクトです。

「第2の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」とは少しおおげさな表現ですが、日本株の有力な買い手として期待したいところです。

 与党大敗のケースは株価にとってマイナスです。海外投資家は意思決定の遅れにつながる弱体政権を嫌い、ヘッジファンド勢による短期的な売り攻勢も考えられます。

 岸田首相が増税をためらう程度の自民党の「ちょい勝ち」くらいが、目下の株式市場にとって好都合なのかもしれません。

≫関連記事:自民が議席減ならこの銘柄も!衆院選結果で上昇期待・日本株16選:詳しくわかる衆院選(2)