天然ガス価格上昇の理由2:米国企業は増産に踏み切らない
これまでなら、米国のシェール業者がすぐに増産し、需給関係を損ねてしまうパターンが常でした。
しかし、バイデン米政権はシェール業者を目の仇(かたき)にしていますし、シェール業者自体も過去の野放図な増産が価格を破壊し、結果として自らの首を絞めたことを反省し、設備投資を絞り込んだままです。
石油天然ガス会社の営業キャッシュフローと設備投資
このため最近の天然ガス、原油価格の堅調で米国の石油天然ガス会社の営業キャッシュフローはよい感じで増えているのに、投資額はあまり増えていません。
そのことは、リグカウント(油井の数)にも如実に表れており、特に天然ガスのリグは歴史的に少なくなっています。
北米ロータリー・リグカウント
もちろんリグは近年大型化しているし、一つのリグから斜めにいろいろな方向へ掘削することができる関係で、見かけのリグの数の少なさほど生産能力は落ちていません。
それを断った上でも、今のシェール各社のリグ活動は、価格維持を念頭に置いた、秩序だったものであると言えるでしょう。