中国恒大不安の次は米国の債務問題?

 世界株式は先週来、中国発の信用リスク問題(中国恒大集団の債務不安)を発端にしてリスク回避姿勢に揺れる展開となりました。中国政府当局は、海外投資家が注目する恒大集団の処理を誤れば、信用危機が内需に影響を及ぼす懸念があり「危機の伝播」を回避したい意志もみられます。

 先週、政府当局が潤沢な資金を持つ海外投資家と共同で債務再編シナリオ(恒大の破産回避)を模索するとの見方が報道されました(Bloomberg)。中国恒大集団を分割させ、実質的な「国有企業」に生まれ変わらせるとの説も出ています。

 一部の不動産企業や銀行の損失(犠牲)を表面化させたとしても、2022年に北京・冬季五輪開催(2月)や共産党大会(秋)を控え、消費心理を弱体化させるリスクを放置する可能性は低いと思われます。

 一方、米国株は28日に大幅安となりました。インフレ見通しや金融政策を巡る思惑を受けて長期金利(10年国債利回り)が1.5%台に上昇。10年で3.5兆ドル(約390兆円)の支出をめざす景気対策、年末までのつなぎ予算、公的債務上限問題を巡る議会対立を市場は警戒しています。

 中国や米国の市場は、政治的関与が明確に見られる転換点を待っているとされます。疑心暗鬼がくすぶるなか、ニュースフロー次第ではNYダウ平均や日経平均が神経質な動きを続ける可能性が高いと考えられます(図表1)。

<図表1:香港市場に続いて米国市場も軟調に>

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2020年10月~2021年9月29日)