今日の為替トレッキング

今日の一言

首から下が1日に稼ぎ出すのはせいぜい2、3ドルだろう。しかし、首から上を働かせれば、無限の価値を生み出すことができる。– エジソン

Moving’ Out

 米国ではコロナ前の2020年1月に比べて、就業者数が約900万人減少しています。しかし今年4月のデータによると、ほぼ同数の求人募集がありました。仕事があるのに雇用が伸びないのは、なぜなのか。

 それは全米の企業が一斉に採用を拡大しようとしたため、十分な労働力を確保できなくなっているからだといわれています。米国の労働人口が減少しているわけではなく、短期的な雇用のミスマッチが理由です。

 米国の雇用市場は今、極端な売り手市場になっていて、できるだけ自分を高く売ろうとしたり、より良い仕事を求めて転職を繰り返したりしている人が多くいる。米国で4月に仕事を辞めた労働者の割合は、過去20年で最大の水準。失業給付金がたっぷりもらえるから、すぐに働かずにゆっくりと自分に合う仕事を探すこともできる。

 パウエルFRB議長は「月間100万人近い雇用増を見たい」と発言しています。もし非農業部門雇用者数が1カ月に100万人増えていくと仮定するならば、今年12月には、米国の雇用市場はコロナ前の完全雇用状態に戻ることができます。そうなれば、「米経済の著しい進展」の証拠が揃ったとして、米利上げに対するマーケットの期待は一気に盛り上がることになります。しかし9月雇用統計の非農業部門雇用者の増加数は23.5万人と伸び悩みました。それでもFRBは近い将来目標に達するだろうと楽観的です。その理由は求人数の多さ。

 米労働省が発表したJOLT求人件数によると6月の求人は1,000万件を突破。これは失業者の総数を上回る件数です。いったんスイッチが切り替われば、人々は堰を切ったように雇用市場になだれ込み、毎月の雇用が100万人どころか、月200万人に急増するような「過熱」リスクも高まっています。