今日の為替トレッキング

今日の一言

どうせダメだろうと決めつけることなく、他人と比較せず、やるべきことに心を集中させる

If We Hold On Together

 FOMCメンバーは緩和縮小の開始と規模(終了)を巡って意見が割れています。しかし、共通しているのは、「バランスシートと政策金利」は別物だということ。

 FRB(米連邦準備制度理事会)が緩和縮小を始める条件は何か?緩和縮小は、米経済が1年前(2020年後半)に比べて著しく改善したとの判断で開始します。では利上げの条件は?それは完全雇用が達成され、インフレ率が持続的に2%になっていることが確認されて初めて実施するのです。

 パウエルFRB議長がジャクソンホール会議の講演で、マーケットに伝えようとしたのは、まさにこの点。緩和縮小のサイクルと最初の利上げは連動していない、全く別物だということです。

 インフレ率についてパウエル議長は「目標を大幅に上回って推移」していることを認め、インフレが一過性で終わるという考えに自信を持てなくなっているようです。一方、完全雇用については、目標に向けて「明確な進展」が見られるが、コロナ変異株感染拡大がそれを打ち消す懸念があるとの見解。9月米雇用統計の非農業部門雇用者数は期待を大きく下回る結果となりました。インフレ率はFRBのテストをぎりぎり通ったかもしれないが、雇用は落第。つまり利上げの条件は満たしていない。

 FOMCが今週の会合でテーパリングの事前通知、11月の会合で減額のペースと規模を公表、そして12月のFOMC会合で、緩和縮小開始を正式に発表、というのが現時点でマーケットが予想するスケジュール。

 FRBは緩和縮小を完了した後すぐに利上げを開始して、政策金利が2%に達するまで、年に2回ずつ利上げを続けると予想しています。FOMCが実際どのように考えているかは、明日公表のドットチャートで示されるでしょう。

 マーケットはどうしても緩和縮小と利上げをセットとして考えてしまいがちですが、前回のサイクルでは、量的緩和が終了したあと最初の利上げまでに1年2カ月の間隔がありました。緩和縮小完了、必ずしも利上げではない。中央銀行とマーケットの、この認識ギャップが予想外のボラティリティを生み出す危険があります。