投資はあくまで手段。ほったらかしでも大丈夫という考え方が大切

代田 ほったらかし投資の考え方には、資産運用は、人生の目的ではなく、目的を達成するための手段のひとつでしかない、という意味も込められていると思います。

 目的とは「こういう暮らしをしたい」「こういったことを成し遂げたい」「社会や家族とこういうようにつながっていきたい」ということで、それをお金の面から支えるものが資産運用です。だから本来は資産運用よりも、目的のためにより時間を使わないといけないはずです。

 日本の新聞、雑誌などの記事には、「個別銘柄の発掘」や「超高速取引」が個人の資産運用に最も必要な能力であるかのような印象を読者に与えるものが多いですが、こういったものは資産運用の王道ではありません。

 先ほど触れたブリンソン教授らの研究によって、ポートフォリオ・パフォーマンスの変動要因は、銘柄選択やマーケットタイミングより、資産配分の方が重要な意味を持つと結論付けられています。

 このような研究を踏まえれば、インデックスファンドを使って分散投資をすればいいわけで、「投資とは普通の人が普通に考えて簡単にできるものだ」というメッセージを世の中に送っていることが、ほったらかし投資のいいところだと思います。 

 人生の目的を達成することにちゃんと時間を使って、投資の方は基本だけおさえればほったらかしでも大丈夫だよ、というメッセージは一般消費者の側に立った真っ当なものだと感じます。

山崎 読者には投資でイライラしたりせず、人生を豊かに過ごしてほしい、というのが最終的なメッセージなので、そう言っていただけると大変ありがたく思います。