今日の為替トレッキング

今日の一言

自分に制限をかけないこと。それが大事なんだと僕は学んだよ。自分が本当にしたいことなら、何だってやれる - ライアン・ゴズリング(俳優)

House of the Rising Sun

 FRB(米連邦準備制度理事会)の動向に注目が集まっています。来週開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)において、緩和縮小の決定がアナウンスされるかが最大の焦点ですが、市場関係者の本当の関心は緩和縮小よりもその先にある「利上げ」はいつ始まるかということです。

 緩和縮小の正式発表に関しては、今月(9月)の可能性は残るものの、「弱い雇用統計」やデルタ変異株感染の拡大を理由に、11月まで発表延期という見方が今では多くなっています。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は「年内に開始するのが妥当」との考えを示していますが、具体的な日程については明らかにしていません。

 インフレに関してFRBは「著しく上昇している」という見解を示しています。パウエル議長はインフレが一過性であるとの見解を修正し、想定以上に「しつこく持続する」可能性を認めています。

 市場関係者は、どうしても緩和縮小と利上げはセットにして考えてしまいます。しかし緩和縮小は雇用に関わる政策、利上げはインフレに関わる政策と、目的が違います。金融政策正常化へ向けた一般的な順序としては、まず緩和縮小、利上げはその次です。

 しかし、ここに問題があります。現在の米経済の状況に当てはめると、実施の順番を逆にしなくてはいけない。経済指標を見る限り、インフレ目標が完全雇用より先に達成される可能性が高い。であれば、緩和縮小の前にまず利上げをするのが正しいことになります。

 パウエル議長は「コロナ禍によって仕事を失った人々のことをFRBは忘れていない」と発言しています。 最大雇用を達成したと確信するまで、FRBは緩和縮小の実施を望まないという意志の表れです。緩和縮小が遅れるなら、利上げも遅れる。しかしインフレを放置することもできない。では緩和縮小より先に利上げという逆転技が可能なのか?これがFRBのジレンマです。