今日の為替トレッキング

今日の一言

初心とは、多くを期待することなく、一瞬一瞬に新鮮に反応することである

夏をあきらめて

 今夜は米国の8月小売売上高の発表があります。米国の個人消費は、米国のGDP(国内総生産)の約70%、世界全体のGDPの約17%を占めています。米個人消費の動向が、米国景気さらには世界景気全体に与える影響がそれだけ大きいのです。小売売上高は米経済成長を占うために重要な指標です。

 コロナ移動制限の緩和が進むにつれて、「モノ」への支出が減り「コト(サービス)」へ移っていくことが予想されるので、小売売上高は年末に向けて鈍化すると予想されています。サービスに対する支出が増えることは米国経済にとっては悪いことではありませんが、米国にモノを輸出する国にとっては痛手であり、大きくいえばコロナからの世界経済回復の遅れにつながるとの指摘もあります。

 米国ではワクチン接種の普及で観光業が復活して、さらにRTO(リターン・トゥ・オフィス)が本格化するならば、秋に一大消費ブームが起こるといわれていました。人々はオフィスに戻るために通勤用のスーツを買い揃え、ワードローブの古い服を整理して最新流行の服を買う。供給が需要急増に追いつけず、モノ不足からインフレが一時的に跳ね上がり、異常に低い状態に置かれていた金利が大幅上昇するリスクがある。そんな甘い期待を予測していたエコノミストも多かったのですが、8月のCPI(消費者物価指数)にその兆候を見つけることはできませんでした。