候補者はいったいどんな人?マーケットが期待するのは?
候補者1:岸田文雄氏
岸田氏は前回総裁選で敗退した直後からリベンジを宣言しています。「小泉内閣以来の新自由主義的な政策の転換」を唱えています。競争一辺倒から中間以下の所得層の底上げ型への配慮を強くにじませる政策は出身派閥の「宏池会」の伝統でもあります。宏池会は池田勇人、宮澤喜一らの首相を輩出した自民党最古の派閥です。
候補者2:河野太郎氏
河野氏は「政界の異端児」を自認していますが、世論調査での支持率が高く、行政改革にも前向きに取り組んで将来の宰相として地歩を固めてきました。河野氏は「デジタルとグリーン」を成長戦略の柱に据えており、最近の株式市場のトレンドとも一致します。10日の記者会見では「企業から個人へ」を強調し、大企業の体力回復を果たした「アベノミクス」と距離を置く姿勢も示しました。
候補者3:高市早苗氏
高市氏は安倍晋三前首相の応援を得て、存在感を急速に増しています。総裁選出馬当初は「ニュー・アベノミクス」を掲げていましたが、「サナエノミクス」に改称しました。中身は大規模な金融緩和の継続と財政出動など、金融政策と財政政策の各方向から刺激で景気浮揚を目指す「リフレ派」的な性格が色濃いものです。安全保障分野に強い論客としても知られ、中国や北朝鮮の脅威と向き合う政治家です。
新総裁の任期は10月1日から。菅内閣の名前で臨時国会が召集され、同日中に総理大臣を決める首班指名を終わらせ、組閣まで突き進みます。大臣ポストをめぐる派閥間の駆け引きがあるのもこの局面です。
その後の衆議院議員総選挙ですが、現時点で予想される最速シナリオは10月11日に新首相による所信表明演説、衆参両院による代表質問をこなして13日解散となれば、衆議院の任期満了2日前の19日に総選挙が公示され、31日に投開票です。
ただ、10月30~31日にG20(主要20カ国・地域)首脳会議が予定されており、この間の新型コロナ感染の状況も予断を許しません。国会の閉会が10月28日まで延びて、11月28日投開票というのが理論上の最も遅いスケジュールとなります。
選挙後には憲法の規定に従って特別国会が開かれ、再び首班指名です。与党である自民党・公明党が過半数を維持すれば、選挙後の首班指名は儀式のような形式的なものに終わるのが最も現実的な展開です。
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