9月は「通貨大乱の月」!今年は何が起こる?

 さて、9月はこのコラムで毎年紹介していますが、「通貨大乱の月」として警戒する月のため身構えています。

 ハッサクが「通貨大乱の月」と呼んでいるのは、1985年のプラザ合意、1992年欧州通貨危機、2001年米国同時多発テロ、2008年リーマンショックと、為替市場を大きく揺るがした歴史的大事件が9月に発生したからです。

 毎年9月に何かが起こるということではないのですが、その時の経験が体に染み付いており、9月はいつもマーケットに対して緊張して臨む月となっています。そして、そのような9月ですが、今年の9月は経済よりも政治要因で動きそうな気配があります。

 米国ではバイデン大統領の支持率が、死傷者を伴った8月のアフガン撤退によって急低下し、不支持率が支持率を上回る状況となっています。また、民主党穏健派のウェストバージニア州のマンチン上院議員が、3.5兆ドルの景気刺激策の「一時休止」を求めています。

 上院はハリス副大統領の1票で辛うじて過半数を超える議席となっているため、マンチン議員が反対票に回ると法案が可決できなくなる事態が起こります。クレイン米大統領首席補佐官は、5日、マンチン議員を説得できると自信を示していますが、今後の警戒材料になるのは間違いありません。

 このように8月後半から、バイデン大統領を取り巻く政局が急速に悪化してきています。

 今のところ、マーケットに悪影響を与えるような動きとはなっていませんが、現実に経済対策法案の規模が縮小したり法案が可決されなかったりした場合には大きな影響が出そうです。

 また、民主党内の中にはFRB(米連邦準備制度理事会)パウエル議長再任に反対する動きもあるため、再任問題にも影響を与えるかもしれません。

 そして26日のドイツ連邦議会選挙も注目です。環境問題を大きく掲げる緑の党も直近は失速しており、与党のCDU・CSU(キリスト教民主・社会同盟)もラシェット党首が不人気であり、SPD(社会民主党)のショルツ財務相が首相候補として急浮上していますが、メルケル首相のように強いリーダーシップやカリスマ性はありません。

 今後、連立に苦労し、メルケル後継がスムーズにいかない場合、ドイツのみならず、欧州の影響力が低下する可能性も想定され、長期的にはユーロ安要因となりそうです。26日のドイツの選挙は今月最大の注目材料になるかもしれません。