アベノミクス相場の再来?「大相場」になるための条件とは?

 今週の日本市場では、先週に引き続き、携帯電話料金値下げ政策を進めた菅首相の退陣が材料視されるKDDI(9433)など通信株、レーザーテック(6920) など業績好調な半導体関連株が物色されそうです。

 また、新型コロナウイルス感染者数の減少で、小売り、流通、旅行関連株など、これまで売られてきた内需株、新政権誕生後の追加経済対策で恩恵を受けそうな鉄鋼、建設、不動産株など、幅広い業種が買われそうです。

 選挙をきっかけに日本の株式市場が一変したことで思い出されるのは「アベノミクス相場」。2012年11月に当時の野田佳彦民主党政権が衆議院を解散。翌12月の選挙で当時の安倍晋三総裁率いる自民党が大勝したことで、その後、日本株は本格的な上昇に転じました。

 今回の株価上昇が「大相場」になるかどうかは、東証1部の売買高の実に69.2%(2021年8月現在)を占める海外投資家の動向にかかっています。8月の外国人投資家は東証1部の株を1,542億円売り越しましたが、今後、大規模な買い越しに転じるかどうかに注目しましょう。

 むろん、自民党総裁選の状況次第では、遅くとも11月28日までに行われる衆院選の行方が不透明になる可能性もあり、その場合、株高も長くは続かないでしょう。

 今週発表の国内指標としては、8日(水)の4-6月期GDP(国内総生産)の改定値や7月の国際収支・経常収支から、日本の輸出産業の堅調ぶりを確認できるかどうかに期待したいところです。

 海外では、9日(木)に欧州の金融政策を決めるECB(欧州中央銀行)の理事会が開かれます。ヨーロッパでもテーパリング(量的金融緩和の縮小)議論が始まるかどうかが注目されるでしょう。

 10日(金)には米国の8月の卸売物価指数が発表されます。コロナ禍による物流網の停滞で生産現場における高水準の物価上昇が続くようだと、株式市場にはネガティブです。

 3日(金)の菅首相退陣表明をきっかけにした株高への期待感は、昨年の安倍首相退陣劇以上のものといえるでしょう。この株高がのちのち「〇〇ミクス」相場と名付けられる可能性もないとは限りません。

 初心者の方にとって今週はある意味、「個別の日本株投資を始める大チャンス」の時期になるかもしれません。