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著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 [動画で解説]日本株「買い場」の判断を改めて強調」
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菅首相退陣で、自民大敗のリスクが低下したと判断した外国人が日本株買い戻し
先週(8月30日~9月3日)の日経平均株価は1週間で1,486円上昇し、2万9,128円となりました。菅首相辞任で、衆院選での自民党大敗リスクが低下したと見た外国人投資家【注】が日本株を買い戻したことが、日経平均の急騰につながったと考えられます。
【注】外国人投資家による日本の政治の見方
私はファンドマネージャー時代、欧米年金やアジア中東のソブリンウェルスファンド(政府系ファンド)としばしば話しをしていました。外国人投資家は日本の政治を良く見ています。
資本主義の構造改革を進める自民党の支持率が高くなる時に、外国人が日本株を積極的に買い、自民党の支持率が下がり、選挙で敗北する時に日本株を売る傾向が顕著です。
外国人の大量買いで日経平均がNYダウを大幅に上回る上昇を演じたのは小泉内閣で自民党の支持率が高かった2005年と、第二次安倍内閣がスタートした直後の2013年です。
日経平均週足:2020年1月6日~2021年9月3日
菅首相辞任が発表された9月3日は、日経平均が前日比584円高と大幅に上昇しました。ただし、それを先取りした上昇は8月23日から始まっていました。
8月22日投開票の横浜市長選で、菅首相が推す小此木八郎氏が敗れ、立憲民主党推薦の山中竹春氏が当選。これで「菅首相では衆院選を戦えない」との見方が広がり、自民党総裁選で新総裁を選び、「新総裁への期待で自民党支持を回復してから衆院選に向かう」シナリオが見えてきました。
これで、衆院選での自民党大敗リスクが低下、衆院選後に新内閣のもとでコロナ対策の大規模経済対策が打ち出される期待も出てきたと解釈されました。その動きに敏感に反応した外国人投資家が8月23日から日本株を買い戻し始めていたと考えられます。