過度な不安は解消、割安な日本株を見直す流れに
日本株が売られる原因となった過度な不安が低下したことが、日本株が見直されるきっかけとなりました。
【1】衆院選の不安が低下
菅首相辞任で衆院選自民大敗のリスクが低下したと解釈されました。新総裁を選び、新総裁への期待で自民党支持を高めてから衆院選を迎える見込みです。新総裁は、コロナ対策での大型財政出動を公約に衆院選を戦い、衆院選後に、実際大型の景気対策を実施してくる可能性が高いと考えられます。
ただし、もしコロナがいつまでも収束しなければ、新総裁への期待で自民党支持が高まるのも短期間で終わる可能性があります。ワクチン普及でコロナが収束に向かうか否かが、今後の政治経済、株式市場にとって重要です。
【2】経済の不安は続くが、一縷の期待も
変異種の感染拡大で、内需回復がさらに遅れる悲観が広がっています。一方、ワクチン接種がさらに進み、日本経済が徐々に正常化に向かうとの期待もあります。
ワクチン効果で60代以上の感染が減少しているのを見ると、40~50代、20~30代のワクチン接種が進むと感染がピークアウトする期待は残っています。すると日本にも、米国と同じような消費爆発(コロナ禍で抑えられていた消費の急増)が起こる期待もあります。
【3】テーパリングへの不安も低下
FRB(米連邦準備制度理事会)が年内にテーパリングを開始することは避けられないと思います。ただし、テーパリング実施後も利上げはなく、ゼロ金利は長期化すると思われます。
そのことが、8月27日に行われたパウエルFRB議長の講演から読み取れます。「年内にテーパリング開始」の見通しは変わっていませんが、コロナ変異種拡大への不安に対する言及もあり、テーパリングを早期に完了して一気に利上げへ向かう懸念は低下しました。金融緩和的状況は長期化しそうとの見方が広がり、米国株上昇に寄与しました。