3.テスラの2021年12月期2Qは、98.1%増収、営業利益4.0倍
テスラの2021年12月期2Q(2021年4-6月期、以下今2Q)は、売上高119.58億ドル(前年比98.1%増)、営業利益13.12億ドル(同4.0倍)となりました。今1Qと比べても15.1%増収、営業利益2.2倍と好調でした。
今2Qのテスラ車の総販売台数は20万1,304台(同2.2倍)と大幅に増えました(このうち主力モデルのモデル3/Yは19万9,409台、同2.5倍)。今1Q比でも8.9%増(このうちモデル3/Yは9.1%増)となり、半導体不足の中でも健闘しました。
地域別売上高は、アメリカ52.05億ドル(同68.4%増)、中国28.59億ドル(同2.0倍)、その他38.94億ドル(同2.5倍)となりました。テスラ車の人気が高く、アメリカ以外の販売が大きく伸びましたが、この傾向は今後も続くと思われます。
今2Qの営業利益率は11.0%となり、前2Q5.4%、今1Q5.7%から大きく改善しました。自動車販売が好調だったため、自動車販売売上総利益率が前2Q24.4%、今1Q25.8%から、今2Q27.9%に上昇しました。一方で、研究開発費と販売費は増加したものの、対売上高販管費比率は前2Q15.6%、今1Q15.6%から今2Q13.1%に低下しました(表6)。この結果、営業利益率は大きく上昇しました。
なお、テスラは、アメリカのZEV規制(Zero Emission Vehicle規制。自動車メーカーに対して一定率の無公害車の販売を義務付ける。達成した自動車メーカーから達成できなかったメーカーへ排出権を販売することができる。カリフォルニアなど12州で採用)に基づく温室効果ガス排出権の販売によって営業赤字を補填してきました。前期2020年12月期までは四半期によっては全社営業利益から排出権売上高を差し引いた実質営業利益が赤字になっていました。しかし、前3Qからは黒字が定着しており、今2Qの実質営業利益率は8.0%と自動車メーカーとしておかしくない水準になりました。テスラ車は実質的に損益分岐点を超えてきたと言ってよいと思われます。
表4 テスラの業績
![](/mwimgs/5/8/-/img_58279274425a45c9ce39f393fd0e6fef51791.png)
時価総額 711,151百万ドル(2021年9月2日)
発行済株数 1,119百万株(完全希薄化後)
発行済株数 971百万株(完全希薄化前)
単位:百万ドル、ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:EPSは完全希薄化後発行済み株式数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前発行済み株式数で計算。
グラフ1 テスラの四半期業績
![](/mwimgs/c/d/-/img_cdede814bff777db6bb3dd7cb78d8bbe43341.png)
グラフ2 テスラの実質営業利益
![](/mwimgs/7/a/-/img_7a792fc247f12e77571802bef4febff562547.png)
グラフ3 テスラのEV生産・出荷台数
![](/mwimgs/2/5/-/img_25873460bb9185fbba7c1a0d6d4b0c4733797.png)
表5 テスラの売上高内訳
![](/mwimgs/9/b/-/img_9b250eff3452c4784b31ad752a74354d16207.png)
表6 テスラの四半期業績詳細
![](/mwimgs/a/6/-/img_a6546f465b4cc073de82afd3268acbf051357.png)
出所:会社資料より楽天証券作成