2.一見すると、インドは集団免疫獲得にはほど遠いが? ワクチン接種もいまだ道半ばで、公式データに基づけば、インドは集団免疫獲得にはほど遠い状態

 図表2は、インドのワクチン接種状況と新型コロナウイルスの累計感染状況を示しており、インドが集団免疫獲得にどれほど近づいているかを見ています。集団免疫を獲得するには人口の7~8割の人々が新型コロナウイルスの抗体を持つ必要があるとされており、そのためには、ワクチン接種を進めるか、感染するかのいずれかが必要と考えられています。

 インドのワクチン接種状況は、2回目が終わった人が人口の1割程度とまだまだ少なく、1回目の接種をした人も2割強であり、合計しても3割程度です。また、インドは今年の5月ごろに激しい感染の波に襲われたものの、公式データに基づけば感染者数は累計で人口の2%程度しかいないとされています。

 しかしながら、インド・メディアなどの報道によると、インド医学研究評議会が7月に行った約3万人を対象とした抗体検査において、ワクチン未接種者のうちの6割以上の人々が新型コロナウイルスの抗体を保有していたことが判明しました。

 公式データの2%とはかけ離れた水準であり、本人が気づかない間にたくさんの人々が感染していた可能性があるとされています。6割の人々が感染し、3割の人がワクチン接種を受けたとすると、9割程度の人々が抗体を保有している可能性があるわけです。インドは集団免疫を獲得したのかもしれません。

[図表2] インドの集団免疫獲得状況

期間:2021年1月1日~2021年8月22日、日次
(出所)Our World in Dataを基に野村アセットマネジメント作成