テレビや雑誌で大人気の「優待名人」桐谷広人さん。「トウシル」でも何度もご登場いただいていますが、今回、再びご自宅に伺い、インタビュー取材を行ってきました。

 桐谷さんにお目にかかるのは1年半ぶり。当時も、桐谷さんおススメの優待銘柄を伺ったのですが、その時、挙げた銘柄が1年半の間にどうなったのか、勝率も含めて結果発表していただきました。当時の桐谷さんの目利きは正しかったのかどうか、まずは答え合わせです!

 さらに、やはり聞きたいのが「2021年下半期、9~12月のおススメ優待」。桐谷さんが今注目しているのはどの優待? 山ほど届いた優待品に埋もれながらの取材は2時間近く。変わらぬ桐谷節で優待愛を熱く語ってくださいました!

※取材日時は2021年8月3日です。下記記事内の数値とは異なる場合がございます。

お話を伺った方

桐谷広人さん

 

 365日、株主優待でゲットした優待品で暮らす株主優待家。プロ棋士七段。現役時代は「コンピューター桐谷」の異名を持つ。

 東京証券協和会将棋部の師範をしていたことをきっかけに、株と出会い、勝ち負けを繰り返しながら現在の「割安成長株&優待銘柄」という投資法にたどり着く。TV出演などをきっかけに認知度&人気が急上昇。トウシル読者にも熱烈なファンが多数。

 

損切りしなかったのが功を奏してプラス収支に

──今日は秋から暮れにかけて権利が確定する優待銘柄のなかから、おススメ銘柄を挙げていただきたく思います。

桐谷 優待好きの人ならご存じの通り、9月は3月と並んで1年で最も優待が多い月なので、おススメしたい銘柄がたくさんあります。その分、10月、11月はめぼしい銘柄が少ないのですが。

──では、さっそく9月権利確定銘柄からお伺いできますか。

お元気そうな顔を見せてくださった桐谷さん。事前にさまざまな銘柄情報を調べてくださっていました。

桐谷 その前にちょっといいですか。1年半前だと思いますが、トウシルさんの取材でやはりおススメ銘柄を挙げたことがあるんですよ。そのときのご報告をしておこうと。

──2020年1月に「今、狙っている銘柄10」というテーマで取材させていただきました。

桐谷 そう、そのときは、保有していない銘柄のなかから10個選んでくれといわれたんです。

 なにせ1,000銘柄以上保有しているから、それら以外といわれて、ちょっと困ったんですが(笑)、それでもいろいろ調べて、面白そうな銘柄を10銘柄、挙げました。

 で、私自身もそれを全部、買ってみたんですよ。人に勧めておいて、自分で買わないのは無責任かなと思いまして。ただ、10銘柄のうち2銘柄は、前に買っていたのをすっかり忘れていたので、実際に買ったのは8銘柄でしたが(笑)。

 それで結局、どうだったか。もうかったのか損したのか。桐谷が勧めたから買ってみたという人もいるかもしれないので、まずはそのご報告をしておこうと思うんです。

──それは読者も興味があると思うので、ぜひお聞かせください。ただ、2020年1月末というと、コロナショック直前ですよね。その頃買ったら、どんな銘柄であっても株価は下がったと思うんですが。

暴落時の心痛を語る桐谷さん。我慢の保有でほぼすべての銘柄が回復し、「やはりろうばい売りはNGなのだな」と痛感しました。

桐谷 そうなんです。買った8銘柄すべて下落しました(笑)。

──どれくらい下落しました?

桐谷 例えば大東建託という銘柄は、1万2,700円で買ったのですが、一時は8,000円くらいまで下がりました。

 買ったのは100株ですが、45万円以上の含み損となりました。

 ほかにもマクニカ・富士エレホールディングスが1,650円から1,149円、ノエビアホールディングスが4,450円から3,985円、カナレ電気が1,579円から1,214円、といった感じです。

──前回は残念ながら負け試合だったと。もちろん、それは桐谷さんの銘柄選びが間違っていたわけではなく、時期が悪すぎたのだと思いますが。

桐谷 いえ、でも、結果的には負けてはいないんですよ。あのとき、株価が下がっても売らなかったんです。含み損を抱えたまま保有していました。そうしたら、どの銘柄もじわりじわりと回復していき、結局、すべて買値付近まで戻ったんです。

 そのうち、いくつかは買値付近で売却しましたが、配当と優待をもらっているので、トータルプラスになりました。それ以外は今も保有していますが、ほとんど買値を上回っていますし、配当と優待もあるので、けっこうプラスになっています。

──では、コロナショックがあったにかかわらず、まずまずの成績だったわけですね。

コロナショックで心が折れかけた投資初心者の皆さんも、桐谷さんの後に続いて、丁寧な投資を心がけたいもの

桐谷 私の投資法は、配当利回りが良かったり、優待の利回りでみるとお得な銘柄を安いときに買い、株価が上がるのを待つというやり方です。

 当然、買った後に株価が下がることはありますが、そういうときも損切りはせず、上がるまで持ち続けます。よほどのことがなければ、損切りはしないんです。

 私はそのやり方で資産を増やしてきたので、コロナショックのときも売る気はありませんでした。結果的にはそれがよかった。

──さすがにコロナショックで苦戦されたのだろうと思っていましたが、最終的にはプラスで終えて、よかったです。

 今回もぜひそういう銘柄を教えていただければと思います。