Things We Said Today

 この日発表されたFOMC議事録は、緩和縮小に関する決定的な手がかりは提供されませんでした。米長期金利が上昇しきれなかった理由のひとつです。

 FRB(米連邦準備制度理事会)の緩和縮小を巡る議論は「いつ」ではなく「どれだけ」。すでにやる、やらない、は卒業して今はどれだけ早く、どれだけ大きく縮小していくのか、というのが焦点になっています。FRBは緩和縮小を完了させてから利上げを開始する考え。毎月の減額幅から緩和縮小の終了時期がわかれば、利上げ時期が予想できます。

 FOMCメンバーは、タカ派(緩和縮小推進)、ハト派(インフレ一時的)、そして中立派(経済指標の結果次第)に分かれています。2023年からの利上げを主張するクラリダ副議長はタカ派。パウエルFRB議長はハト派と考えられています。中立派は、経済指標の結果で判断しようとするグループ。7月雇用統計は強かったのですが、その後の、CPI(消費者物価指数)、ミシガン大学消費者態度指数、小売売上高などは十分に満足といえる結果ではありませんでした。9月のFOMCまでに雇用統計とCPIはあと1回ずつしかありません。

 パウエルFRB議長は、7月のFOMCでコロナ感染流行リスクは残っているとしながらも、「ワクチン接種の展開により「(公衆衛生リスクの)経済への影響は引き続き軽減されるだろう」という、前向きの判断をしていました。ところが今週、パウエル議長は次のように述べました。「デルタ変異株が経済に重要な影響を与えるかどうかはまだ明確ではない」、「コロナ感染流行は依然として経済活動に影を落としている。」

 短期間の間に経済見通しが一歩後退したように思えます。それだけデルタ変異株感染拡大が凄まじいということですが、これを理由にジャクソンホールで緩和縮小の宣言はないと考える投資家もいます。