2021年4-6月は市場予想通りの16%増益、エネルギービジネスが急成長

現地コード 銘柄名
00788

中国鉄塔

(チャイナ・タワー)

株価 情報種類

1.07HKD
(8/10現在)

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 中国の3大通信キャリアが出資する基地局運営会社、中国鉄塔の2021年4-6月期決算は、売上高が前年同期比7.1%増、純利益が同15.6%増と、ほぼ市場の予想通りだった。修繕・保守費用の同3.6%の削減を受け、EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)は同7.3%増と、BOCIの予想を4.5%上回る水準だった。経営陣は通信キャリアによるネットワークの増強を受け、下期には5G関連収入の比重が上向くとの見方。BOCIは目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 4-6月期の純利益は前年同期比15.6%増の18億元と、ほぼ市場コンセンサス予想通りの数字となり、BOCIの予想から2.9%上振れた。売上高は同7.1%増の215億元と、BOCIの予想を0.9%上回っている。

 中でも目を引いたのは、非中核のエネルギービジネスの急成長であり、上期の売上高は前年同期比180.6%増の8億8,400万元。経営陣はエネルギー事業がすでに採算に乗ったと報告。さらに継続的な投資が必要となるものの、この先、スケールメリットが顕在化すれば、採算性の改善が見込めるとしている。

 鉄塔インフラのテナント総数(リース件数)は上期に前年同期比3.3%増の322万8,000件に達した。顧客のネットワーク環境を支援するトランスセクター・サイト・アプリケーション・インフォメーション(TSSAI)サービスのテナント総数は3.2%増の19万5,000件。鉄塔の総敷地面積は1.0%増の203万5,000平米、稼働率は1.68%となった。なお、同社は20年、基地局事業を中核に、屋内分散アンテナシステム(DAS)事業およびTSSAI事業を両翼に据えるという新たな経営戦略、「一つのコア、2つの翼」を始動させている。

 4-6月期にはEBITDAマージンが72.6%に上昇。EBITDAは前年同期比7.3%増の156億元と、BOCIの予想を上回った。修繕・保守費用の低減によるもので、資源配置の適正化によるメンテナンスシステムの見直しへの努力が奏功した。

 経営陣によると、2021年下期には5G関連の売り上げ比率が上向く見込み。通信キャリア各社が7-9月に5Gネットワークの拡張に動き出したためで、5G基地局の増加により、鉄塔1カ所当たりの売上高も上向く見通しという。

 BOCIはDCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。今後のレーティング見直しにつながる可能性があるリスク要因として、リース契約をめぐる通信キャリアとの再交渉の可能性や、2G/3G基地局の廃棄によってタワーリース収入にマイナス影響が出る可能性を指摘。逆に支援材料としては通信キャリアによる下期の5Gネットワークの拡大と、エネルギー事業部門における「混合所有制改革」(民間資本の受け入れ)の可能性を挙げている。