国内GDPの年内急回復は期待薄。米国ではテーパリング議論が本格化!?

 本日16日(月)朝には、日本の4-6月期のGDP(国内総生産)の速報値が発表されました。緊急事態宣言下にあったため、国内消費は落ち込んだものの、企業の設備投資拡大で実質GDPは2四半期ぶりにプラス転換し、前期比1.3%(年率換算)の伸びを記録しました。

 しかし、日本の実質GDPは米国と違って、いまだコロナ禍前の2020年1-3月期の水準を超えていません。7-9月期もコロナ禍の影響が残ることから、内需産業も含めたコロナ超え回復は来年にずれ込む可能性が高いでしょう。

 米国では物価上昇や景気失速懸念を占う意味でも、17日(火)に発表される7月の小売売上高が注目されるでしょう。

 市場予想は小幅な落ち込みですが、デルタ株(インド由来の変異株)の感染再拡大で個人消費がどれぐらい落ち込むのか、もしくは予想外に健闘するのかが、今週も米国株が史上最高値を更新できるかどうかの鍵となるでしょう。

 5月に早期利上げ懸念で急落して以降の米国株は、景気が加速して金利が上昇する思惑が広がると金融株、資源株、消費関連株の寄与度が高いNYダウが上がり、金利低下やデルタ株まん延による景気先行き懸念が広がると、逆にIT株の多いナスダック指数が上昇する展開が続いています。

 いずれにしても、どちらかが上昇して、史上最高値を順繰りに更新していく展開は当面、続きそうです。

 米国株の上げにはなかなかツレ高できない日本株ですが、米国株が下げればそれ以上に急落する可能性もあるので注意が必要です。

 中国のIT、教育、ゲーム産業への統制強化や、アジア全域に広がるデルタ株感染拡大で、香港市場のハンセン中国企業指数やフィリピン、マレーシアの株価指数は今年に入って10%前後下落しています。

 半導体関連の多い台湾や韓国の株価指数は好調ですが、ワクチン接種がゲームチェンジャーになり、昨年とは違ってコロナの感染状況が深刻なアジア株は、日本株も含めて世界的に見て「最弱」といえる状況にあります。

 まずは一刻も早く、「災害レベル」といわれる国内感染者・重症者の拡大に歯止めがかかってほしいものです。