トップシェア維持へ生産増強計画を上方修正、供給過剰は長期化へ

現地コード 銘柄名
00968

信義光能控股

(シンイー・ソーラー)

株価 情報種類

16.28HKD
(8/3現在)

 株価
 企業情報
 チャート

  太陽光発電用ガラスメーカーの信義光能が、2022年の生産増強計画を日産6,000トンから8,000トンに上方修正した。これにより、業界首位の座をさらに固める見込み。ただ、生産能力の増大は業界全体の供給過剰体質を悪化させ、2022年以降も利益率の縮小傾向が続く可能性につながる。BOCIは設備増強効果を反映させる形で、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を引き上げながらも、同社株価の先行きに対して中立見通しを継続。現在株価のバリュエーション(2023年予想PER(株価収益率)21倍)はさほど魅力的な水準にはないとの見方を明らかにしている。

 経営陣が事前に示した見通しの範囲内で、2021年6月中間期の純利益は前年同期比118.4%増の30億7,000万HKドル。4-6月期に平均販売価格が低下したにもかかわらず、太陽光発電ガラス事業の上期の粗利益率は51%に達した。また、上期の設備投資は25億8,400万HKドルと、半期では過去最多。2021年通期では約50億HKドルに上る見通しとなった。

 決算発表後のカンファレンスコールで注目されたのは、経営陣が2022年の生産能力増強目標を日産6,000トンから同8,000トンに引き上げると発表したこと。安徽省蕪湖市の日産1,000トンのライン2本を前倒しで稼働させる方針を示した。BOCIは製品価格の低迷の長期化という犠牲を払ってでも、業界最大手としての地位と生産能力を維持するという、同社の決意を示すものと受け止めている。また、強力なバランスシートや新規のプロジェクト候補(少なくとも蕪湖に日量8,000トン規模)、さらに計画の履行実績などを評価し、同社が向こう2年間、太陽光ガラス業界でトップシェアを維持するとの見方。2022年末、2023年末の日産能力に関する想定値をそれぞれ11%、12%上方修正し、2万トン、2万8,800トンに設定した。

  一方、BOCIは大手・中堅の同業他社も同様に、積極的に生産増強に動くと予想し、その結果、太陽光ガラスの供給過剰が向こう18-24カ月にわたって続く可能性を指摘している。このため、前年実績が高い2022年には、同社の利益成長率は限定的になると予想。生産力主導型の利益成長が実現するのは2023年となる見通しを示した。それにもかかわらず、同社の現在株価は2023年予想PERで21倍と、ヒストリカル平均を1標準偏差の幅で上回る水準にある(BOCIの利益予想ベース)。

 BOCIは予想以上の設備増強見通しを反映させる形で、2022年、2023年の予想純利益を8%、13%増額修正。これに伴い、目標株価を引き上げた。モジュール生産状況の小幅の改善が太陽光発電業界に対する投資心理の向上につながるとしながらも、ガラスの供給過剰懸念が続く現状下では、現在株価は魅力に欠けると指摘。同社の事業戦略や手堅い経営を前向きに評価しつつも、株価の先行きに対して中立見通しを維持している。