「プレミアム化」で業界をリード、柔軟な戦略調整でパンデミックの影響を抑制

現地コード 銘柄名
01876

百威亜太控股

(バドワイザーAPAC)

株価 情報種類

21.75HKD
(8/4現在)

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 アンハイザー・ブッシュ・インベブのアジア子会社、バドワイザーAPACは、2021年4-6月期の決算発表後のミーティングで、プレミアム/スーパープレミアムビール部門の事業戦略や、主要市場での業績見通し、商品インフレ下での価格政策などについて、最新情報を共有した。BOCIは引き続き、「プレミアム化」における同社の主導的地位を高く評価し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 主力の中国、韓国を含む各国市場で新型コロナ感染の新たな波が到来しても、同社は家飲み消費やネット通販チャネルに投資をシフトすることで、販売量を最大化することが可能。中国の主要市場である広東省では5月末にコロナ感染が再燃したが、経営陣によれば、4-6月の販売量への影響は限定的だった。同期の販売減の主因はむしろ、前年同期実績の高さにあったという。販路別では、旗艦ブランド「バドワイザー」がネット通販分野で首位の座にあるため、売り上げ全体に占めるネット通販の割合も業界平均を上回る水準(1桁台前半-半ば)。また、プレミアムおよびスーパープレミアム製品はネット通販チャネルで好反応を得ており、今後の高成長の可能性をうかがわせている。

 同社は「プレミアム化」を目指し、成熟度の異なる市場ごとに戦略を調整する方針。例えば成熟度が中程度の市場(中国国内では50以上の都市が該当)では、短期的に「バドワイザー・クラシック」の販促に照準を合わせる。一方、成熟度の高い市場(30以上の都市が該当)ではスーパープレミアムの展開を含めて商品ラインの充実を図り、様々なシーンでの需要の取り込みを目指す。経営陣によれば、現時点で、スーパープレミアム部門は販売量の増加部分の5割以上に寄与し、販売量全体に対する貢献度は1桁台半ば(2017年の1.6%から上昇)。金額ベースでは全体の10%台半ばに達したという。

 2021年上期には最大12カ月タームで安価な原材料を確保するグローバルヘッジ戦略が奏功。商品インフレによるコスト圧力が高まる中、粗利益率が前年同期比2.5ポイント上昇した(コロナ前の2019年同期比では0.4ポイント上昇)。BOCIによると、続く下期にはコスト圧力がより鮮明となる見通しだが、製品構成の最適化などで、マイナス影響を抑制することが可能。同社は一部地域での値上げも検討しているという。

 BOCIはパンデミックの長期化を理由に2021-2023年の予想売上高を各1%引き下げ、さらに商品インフレの影響を織り込む形で予想粗利益率を1.2-1.8ポイント下方修正。この3年間の予想純利益、予想EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)を8-9%、4-5%減額修正した。これに伴い、目標株価を5%引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、◇市場競争の激化、◇商品インフレの激化、◇プレミアム化の遅れ、◇新型コロナの影響のさらなる長期化を挙げている。