デルタ株の蔓延が進めばテーパリングスケジュールに影響も?

 ジャクソンホール経済シンポジウムでは、パウエル議長が講演すると本人が明言しているため、注目度が高まっていますが、シンポジウムのテーマは「不均一な経済におけるマクロ経済政策」であるため、格差是正のための金融政策が議論の中心であり、テーパリングには触れても具体的な内容には触れないのではないかとの見方が多いようです。

 7月のFOMCで表明された「複数の会合で評価する」とのスケジュール感としては、9月と11月のFOMCで状況をみて12月にテーパリングの開始時期を告知し、来年1月に開始するとの見方が大勢です。米雇用統計やジャクソンホールのパウエル議長の講演後も、このスケジュール感に大きな影響は与えないと予想されますが、それよりも新型コロナウィルスの感染再拡大、それもより感染力が強いデルタ株蔓延によって景気に悪影響を及ぼさないかという点の方が気掛かりです。

 デルタ株が蔓延し、労働市場の回復不安や経済・社会活動の再規制によって景気回復が足踏みすれば、金融緩和長期化との見方が広がり、テーパリングのスケジュールは後倒しになる可能性があります。米国では感染者が急増していますが、ファウチ首席医療顧問は、8月1日、今後ロックダウンをする可能性は低いとの見方を示しました。今後、更に感染者が増えてもその方針に変わりはないのかどうか、その動向に注目です。

 日本も感染者1万人超えが続いている中で、クラスターの74%はワクチン接種済みという報道はかなり心配させるニュースです。今のところ、日本の感染者増加は為替や株に影響を与えていませんが、動向には注視していく必要があります。

 東京五輪開会の2週間後に当たる8月6日以降の感染者が、自宅での五輪観戦者が増えることによって、減っていくのかどうか注目しています。「観戦」が「感染」を減らせばよいのですが…。