GDP実額は過去最大、ただしコロナが足かせに

 GDPの実額は、コロナ禍前の2019年10-12月期の水準を上回り、過去最大となりました。米政府は2021年7%成長を目指しますが、労働力や部材の供給制約が、ここからのさらなる成長の足枷になっているようです。部材の供給制約はいずれ解決されるでしょうが、足元で感染再拡大のリスクが高まっている中で労働市場が回復するかどうかが今後のポイントになりそうです。

 また、3月に支給が決まった最大1,400ドルの現金給付も、購買力を押し上げた要因となっていますが、経済対策の効果が一巡した後も消費が続くのかどうかに注目です。

 そういう中で7月30日にCDC(米疾病対策センター)が発表したニュースには驚きました。報道によると、マサチューセッツ州でクラスターが発生し、感染者469人の内、74%(346人)がワクチン接種を終えた人だったとのことです。ワクチンを接種しても7割が感染するのであれば、当局からの規制がなくても行動にかなりブレーキがかかるかもしれません。

 8月も引き続き、FRBのテーパリングのスケジュール感や雇用を中心とした景気動向が焦点になりそうです。その中で8月6日の米雇用統計と8月26~28日のジャクソンホール経済シンポジウムにおけるパウエル議長の講演に注目です。8月は日米欧とも金融政策委員会は開催されないため、日米欧中央銀行の総裁が集結するこのシンポジウムは毎年注目されています。

 6日の米雇用統計で強い数字が出れば、テーパリング開始時期が早まるとの期待から、瞬間的にはドル買いに反応するかもしれません。しかし、やはり10月発表の9月分雇用者数を見極めるまでは、トレンドにはならないだろうと思われます。新型コロナウィルスのデルタ株が蔓延してきている中で、保護者が仕事に戻るために必要な9月の「学校への通学再開」がスムーズに行われるのかどうか、追加給付の期限が切れた後、スムーズに労働者が市場に戻るのかどうかに注目です。