Another Day in Paradise

 米国の個人消費は、米国のGDP(国内総生産)の約70%、世界全体のGDPの約17%を占めています。それだけ個人消費の動向が、米国景気さらには世界景気全体に与える影響が大きいのです。したがって、小売売上高は米経済成長を占ううえで注目度の高い指標です。

 6月の米小売売上高は、マイナス予想に対して前月比+0.6%と、予想以上に強い結果となりました。小売業は、米政府のコロナ対策給付金が支えていた部分があって、支給最後の月となった3月には急上昇(+9.7%)と売上が大きく上昇しましたが、その反動が出て5月は▲1.3%と大幅に下落しました。

 また移動制限の緩和で、消費者がモノ(家電や家具)からレジャー(野球観戦)などへより多くのお金を使うようになったことも小売売上高伸び悩みの一因になります。それに今の賢い消費者は、ネットで比較してから買うので、リベンジ消費が強まっているといっても、高すぎると思う商品には手をださない。

 とはいえ、ワクチン接種の普及で観光業が復活して、さらにRTO(リターン・トゥ・オフィス)が本格化するならば、夏から秋にかけて一大消費ブームが起こるといわれています。

 人々はオフィスに戻るために通勤用のスーツを買い揃え、ワードローブの古い服を整理して、外出が自由になった今年の夏休みに着る新しい服を買うので、サマーウェアや水着の売り上げが爆発的に伸びる。供給が需要急増に追いつけず、モノ不足からインフレが一時的に跳ね上がる。それに反応して異常に低い状態に置かれていた金利が大幅上昇するリスクもあります

 しかし、米長期金利の低下を見る限り、デルタ変異株がマーケットの明るい予想を潰そうとしているようです。