マクロ経済の減速でインフラ投資拡大か、バリュー株として存在感

現地コード 銘柄名
00390

中国中鉄股フン有限公司

(チャイナ・レールウェイ)

株価 情報種類

3.81HKD
(7/27現在)

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 中国のマクロ経済は不動産投資や輸出の減速により、一部厳しい局面を迎えている。BOCIは政府当局が一部セクターを対象に締め付け方針に転じたことで、失業率が上昇し、国内経済の減速圧力が一段と強まるとの見方。仮に、不動産引き締め策の緩和がさほど期待できないのであれば、この先、景気底上げに向けてインフラ投資が加速する可能性があるとしている。中国中鉄は2大ゼネコンの一角だが、BOCIは同時に、バリュー株としても際立った存在であると指摘。同社株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 BOCIはまず、不動産投資の引き締めや、輸出に不利となる人民元高、失業率の悪化につながる複数セクターの規制強化といった政策動向を考慮。その上で、トップダウンの視点から、インフラ投資の強化策はマクロ経済と逆相関関係にあると指摘している。好景気であれば、インフラ投資の伸びは低く抑えられ、逆に景気が思わしくなければ加速するという関係にある。また、失業率が上昇すれば、経済成長の減速圧力は強まる。不動産引き締めの緩和余地が仮に限定的であるならば、景気刺激策として、インフラ投資が加速する可能性が高まるとしている。

 分野別では、鉄道および地下鉄投資は横ばいに推移する可能性が高く、地方政府が手掛ける公共建設事業が同社のインフラ投資の伸びを支える見込み。大都市のインフラ施設や地下鉄建設プロジェクトが成長エンジンとなる公算が大きく、道路建設事業も緩やかな伸びを示す可能性が高い。

 一方、コンゴ共和国に保有する銅鉱山はこの先、銅カソードで年産25万3,500トン、水酸化コバルトで年産5,180トンというフル稼働状態を迎える見込み。BOCIはこの点で、同業他社を上回る価値があると指摘している。

 建設セクター全体のバリュエーションは現在明らかに低迷しており、2大ゼネコンである中国中鉄、中国鉄建(01186)の株価は2021年予想PER(株価収益率)でわずか2.8倍、2.3倍。予想PBR(株価純資産倍率)も0.3倍、0.2倍の水準にとどまっている。BOCIは引き続き1桁台後半あるいは10%台の利益成長が見込めるとした上で、過去に底値レベルだったフォワードPER3.1倍、3.5倍と比べても、両社の現バリュエーションは低く、魅力が大きいとの見方だ。中国中鉄のフォワードPERのヒストリカル平均は9.6倍だが、BOCIが目標算出ベースとしている2021年予想PERはわずか6.5倍。BOCIはファンダメンタルズの堅調に言及した上で、目標株価を据え置き、目標水準までの大幅な上値余地を指摘している。

 一方、今後のレーティング見直しにつながり得る潜在リスク要因としては、中国政府がインフラ投資の強化策ではなく、その他の緩和策を採用する可能性を挙げている。