Don’t Look Back In Anger

 ドル/円によくみられるパターンとして、月の第1週に発表される米雇用統計の直前あるいは直後の高値が、その月の高値になるというのがあります。その後は下げていくのですが、月中から月末にかけて安値をつけると、再びそこから翌月の雇用統計を目指して上昇を始めます。

 7月は、このパターンが出現しました。米雇用統計が発表された2日に。約1年3カ月ぶりの円安水準である111.66円をつけてこれが7月の高値となりました(1)。

 その後8日には米長期金利の急低下と共に、110円も下に抜け109.53円まで下落(2)。6月米CPI(消費者物価指数)が13年ぶりの高水準まで上昇したことで、FRBの緩和縮小の早期開始に対する期待と警戒から14日には110.70円まで反発(3)。ところが議会証言を行ったパウエルFRB議長が、インフレが上昇するなかでも金融引き締めに慎重な姿勢を崩さなかったことで、111円には戻れませんでした。

 19日には109.06円まで下落して7月の安値をつけました(4)。このときは、感染力の高いコロナ変異株の拡大で世界景気回復が遅れるとの懸念で、マーケットが「コロナオン(コロナ感染拡大による投資家心理悪化)」になったことが背景。米10年債利回りは一時1.2%を下回りました。

 ところが、2営業日後の21日には110円台へあっさり戻し、さらに26日には110.59円まで上値(5)。

 28日にはFOMC(米連邦公開市場委員会)を前にして、FRBのタカ派転向に備えた動きと中国政府の規制強化による株価下落を嫌気して109.58円まで下落しましたが、FOMC後には110.28円まで反発。

 7月最後の30日には109.36円まで下落(6)。そして今週は米雇用統計の発表があります。定番パターンに従えば、110円台への反発の可能性は十分あります。しかし111円台は重い。その一方で109円以下も堅い。108円台は2カ月間以上タッチしていません。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成