SCREENホールディングス

1.2022年3月期1Qは、23.9%増収、営業利益4.7倍

  SCREENホールディングスの2022年3月期1Qは、売上高828億5,600万円(前年比23.9%増)、営業利益86億9,300万円(同4.7倍)となりました。

 セグメント別に見ると、SPE(半導体製造装置事業)は、市場シェアトップのウェハ洗浄装置が順調に伸びたため、売上高597億円(同13.5%増)、営業利益88億円(同2.1倍)となりました。メモリ(主にNAND)向けが好調だったほか、ファウンドリ(TSMCのような半導体受託生産業者)向けが堅調でした。工場稼働率の向上や製品構成の改善によって生産性が良くなったため、営業利益率は前1Q8.0%から今1Q14.7%に上昇しました。SPEの営業利益率は前3Q以降10%以上を維持しています。

 採算が良いため会社側が注力しているポストセールス(年間売上高600億円超。保守サービス、部品販売、汎用半導体ライン向けの中古品販売など)も堅調でした。

 GA(グラフィックアーツ機器事業)、FT(ディスプレー製造装置及び成膜装置事業)、PE(プリント基板関連機器事業)は、いずれも黒字でしたが、利益水準が低い状態が続きました。

 今1Qの全社受注高は1,113億円(同96.3%増)となりました。このうちSPE受注高は933億円(同2.2倍)と前4Q839億円からも増え、過去最高 となりました。前4Qと比較するとファウンドリ向けは減少しましたが、ロジック、DRAM向けが増加しました。また、パワーデバイス向けが増加しています。会社側は今2Q、3Qとも堅調な受注を予想しています。

表10 SCREENホールディングスの業績

株価 9,840円(2021/7/29)
発行済み株数 46,567千株
時価総額 458,219百万円(2021/7/29)
単位:百万円、円
出所:会社資料より楽天証券作成
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:発行済み株数は自己株式を除いたもの。

表11 SCREENホールディングス:セグメント別損益動向(四半期ベース)

単位:億円
出所:会社資料より楽天証券作成
注1:2018年3月期1QからGAとPEが分離された。
注2:億円未満を切り捨てたため、合計が合わない場合がある。

表12 SCREENホールディングス:セグメント別損益動向(通期ベース)

単位:億円
出所:会社資料より楽天証券作成
注:端数を切り捨てたため合計が合わない場合がある。

グラフ8 SCREENホールディングスの半導体製造装置事業受注高

(単位:億円、四半期ベース、出所:会社資料より楽天証券作成)

2.2022年3月期会社予想業績は上方修正された

 今1Qの好業績を見て、会社側は今期2022年3月期業績予想を、前回予想の売上高3,725億円(前年比16.3%増)、営業利益375億円(同53.1%増)から、売上高3,915億円(同22.2%増)、営業利益445億円(同81.7%増)へ上方修正しました。

 この中でSPEは、前回予想の売上高2850億円(同21.0%増)、営業利益400億円(同54.4%増)から、売上高3055億円(同29.7%増)、営業利益485億円(87.3%増)へ上方修正されました。

 楽天証券でも業績予想を上方修正します。今期は前回の売上高3,730億円、営業利益375億円を、売上高3,920億円(同22.4%増)、営業利益450億円(同83.7%増)へ、来期は前回の売上高4,180億円、営業利益480億円を、売上高4,350億円(同11.0%増)、営業利益550億円(同22.2%増)へ上方修正します。

 SPEについては、楽天証券では今期は会社予想とほぼ同じ売上高3,060億円(同29.9%増)、営業利益490億円(同89.2%増)(前回予想は前回会社予想と同じ)、来期は売上高3,500億円(同14.6%増)、営業利益600億円(同23.7%増)と予想します(前回予想は売上高3,300億円、営業利益510億円)。

 引き続き順調な業績拡大が予想されます。

3.今後6~12カ月間の目標株価を、前回の1万3,000円から1万4,000円に引き上げる。

 SCREENホールディングスの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の1万3,000円から1万4,000円に引き上げます。楽天証券の2023年3月期予想EPS 760.2円に、成長性(重要工程である洗浄工程でトップシェアを持つ)とリスク(GAなど低採算事業を持つこと、東京エレクトロンとの競合)を考慮して想定PER15~20倍を当てはめました。

 引き続き中長期で投資妙味を感じます。

主要半導体、IT企業の2021年4-6月期決算発表スケジュール(決算期が異なるものを含む)

6月30日 マイクロン・テクノロジー(2021年3-5月期)
7月15日 TSMC
7月20日 ディスコ
7月21日 ASMLホールディング、マイクロソフト
7月22日 インテル
7月27日 アップル、AMD、テラダイン、信越化学工業
7月28日 アドバンテスト、SCREENホールディングス、ラムリサーチ
7月29日 KLA、アマゾン・ドット・コム、ルネサス エレクトロニクス
8月3日  スカイウォーター・テクノロジー
8月4日  ソニー
8月5日  SUMCO
8月10日 レーザーテック
8月16日 東京エレクトロン
8月18日 エヌビディア(2021年5-7月期)、シノプシス(2021年5-7月期)
8月19日 アプライド・マテリアルズ(2021年5-7月期)
注:東京エレクトロンの決算発表日は8月5日から8月16日に変更された。

本レポートに掲載した銘柄:ASMLホールディング(ASML、アムステルダム、NASDAQ)アドバンテスト(6857)SCREENホールディングス(7735)