Bridge Over Troubled Water

 バイデン大統領は4月、「米国における一世代に一度の投資」と銘打って、大インフラ投資計画を発表しました。先月には超党派の上院議員グループと暫定的な合意に達したことを明らかにしました。投資計画は当初案から約半分の規模に減り、8年間で1.2兆ドル(約130兆円)になりましたが、民主党と共和党が協力する「超党派」による合意に向けて前進したことは意義がありました。バイデン大統領はこの投資計画を、トランプ前大統領によって分断されたアメリカ政治を修復する象徴としたい考えがあるからです。

 米国の第1四半期の成長率は、1.9兆ドルの追加経済対策の効果で年率6.4%まで拡大。FRB(米連邦準備制度理事会)は、このペースが今年いっぱい続くとみています。

 過去70年間で最大規模となるインフレ投資計画は、米国の景気回復をさらに後押しするとの期待がありますが、支出は約8年間に渡って行われるため、(現金給付のような)即効的な成長効果は期待できないようです。

 バイデン・インフラ投資計画には、財源をどうするのか、という大問題があります。1.9兆ドルの追加経済対策については、 速やかな経済成長を促すことによって財政赤字は減らすことは可能という考えのもと、イエレン財務長官は米国債発行で賄う考えです。

 しかし、さすがにインフラ投資計画については、米債発行だけでは足りず増税は避けて通れない。インフラ投資は、資産の再配分であって、景気刺激策としての即効性はないと指摘される理由です。ただ、超党派の上院議員グループとの合意には法人税増税は盛り込まれていません。

 コロナ対策による政府の債務増加は、米国だけではなく、世界共通の問題となっています。失業給付金やワクチン代(一人4.000円ともいわれる)やそれにかかわる人件費などのコスト、景気刺激策としてのGo To トラベルとかは、最終的に国民が負担するのです。