FOMC, Will You Still Love Me Tomorrow?  

 3月のFOMCで公表された、米政策金利を予想するドットチャートは、2023年に2回の利上げを示唆しています。パウエルFRB議長は「緩和縮小の議論を議論」することも認めました。だからといって、FRBがタカ派に転向したと断定するのはまだ早い。

 緩和縮小はリスク管理ツールのひとつ。インフレ急上昇に対処するための準備を怠りなく行っているのであって、必ずしも実施すると決めたわけではない。パウエルFRB議長は、インフレは一時的だと考えています。FRBの緩和政策は、インフレもそうですが、コロナ禍の米経済を支えることが、本来の目的。景気が回復するにつれ、その必要性は減少します。その重要な判断材料となるのが、雇用統計です。

 3月のドットチャートでは、18名のFOMCメンバーのうち7名は2022年末までに1回の利上げを予想しています。これを理由に、FOMCはタカ派になったと強調されていますが、ドットチャートのすべての点(ドット)が動いたわけではない。逆から見れば、18人のメンバーのうちの11人は2022年に政策を変更しないと考えている。さらに5人は2023年までゼロ金利継続を予想しているのです。

 ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、ドットチャートについて次のように述べています。「FOMCメンバーの金利予想は、次回9月の会合でさらに高くなる可能性もあるし、またその逆もある。」、「(利上げする日が最初から決まっているのではなく、)経済指標の結果から判断して調整する。」

 またインフレについては、「急上昇は、米経済が昨年突然停止した後、また突然再開したことが原因」との見解を示しています。したがって、「経済の再開に物価が完全に適応した後は、上昇ペースが鈍化するだろう。」

 ウィリアムズ総裁は、米経済正常な状態に戻るにはまだ長い道のりがあり、「FRBが政策スタンスを転換するほど状況は進展していない」との考えです。パウエルFRB議長は「ドットチャートはメンバー個人の見解であって、FOMCの政策予定ではない」と繰り返し述べています。