Time After Time 

 日本のコロナ感染者は、緊急事態宣言による外出制限によって一時的に減った期間もありました。しかし宣言を解除すると再び感染者が増加して、また緊急事態宣言を発令。こんなことをこれからも延々に繰り返すのでしょうか。今年4度目の緊急事態宣言が予定通り8月22日まで続くならば、2021年が始まってから8月末までの243日のうちの172日、約70.8%が緊急事態発生中ということになります。この負のループを断ち切るには、ワクチンしかないことは最初からわかっていたはずです。

 ワクチンと経済再開はワンセット。ワクチンを打てば自由に移動しても安全、なのかどうかわかりませんが、ワクチン接種率の低い国ほど経済回復は遅れるとマーケットは見なしています。金融市場では人口比の感染者数でもなく、死亡者数でもない。接種率がすべてなのです。

 世界の人口の一定数以上がワクチン接種を完了したなら、世界経済はどうなるのか? 力強い景気回復と共に抑圧されていた消費が一気に爆発して、狂乱物価時代がやってくるのか。経済再開とインフレがセットでやってくるとの予想が当初は多かったのですが、景気停滞がこれからも続くと主張する悲観論者も増えてきました。というのは、ワクチン接種を完了したからといって、次々と感染力の強い変異株が現れるなかでは、ウイルスに対する恐怖を完全に消すことはできず、人々の生活は簡単に元通りにならないからです。

 コロナ後の人々の行動バターンの予想は難しくなっています。ただ、夏に向けては解放感から、(一時的に)消費が爆発的に拡大する可能性は高いといわれています。供給が需要急増に追いつけず、モノ不足からインフレが一時的に跳ね上がる。それに反応して異常に低い状態に置かれていた金利が大幅上昇。しかし中央銀行はインフレ放置だから利上げはしない。低金利継続と消費回復を追い風にして株式市場の活況が継続する期待があります。一方、金利差による「ドル買い」と、リスクオンによる「ドル売り」に挟まれて、ドル/円はレンジ相場が続きそうです。