コロナワクチンが近く承認獲得へ、国内初のCAR-T細胞療法も支援材料に

現地コード 銘柄名
02196

上海復星医薬(集団)股フン有限公司

(シャンハイ・フォサン・ファーマスーティカル)

株価 情報種類

54.40HKD
(7/9現在)

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 BOCIは上海復星医薬の株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。同社は新型コロナワクチンの国内での合弁生産をめぐり、5月に独ビオンテックと合意したが、BOCIはこのmRNAワクチン「コミナティ」(Comirnaty:日本で言うファイザー製ワクチン)が、近く国内で承認されるとみて、同社株価への支援効果を見込む。同社はまた、ライセンスイン(他社からの開発権の導入)で取得した「イエスカルタ」(Yescarta)について新薬承認を得たが、これは国内で承認された初のCAR-T細胞療法。今後は「イエスカルタ」の販売増と、濾胞性リンパ腫(FL)への適応拡大が焦点となる見通しという。

 新型コロナワクチン「コミナティ」について、BOCIは中国本土での年内承認を見込む。治験の中核となるピボタル試験のフェーズ2は2020年11月にスタートし、12月には参加者募集を終了。そのデータをすでに、NMPA(国家食品薬品監督管理総局)に提出した。中国ではこれまでに6社が開発したコロナワクチン7種が承認されたが、BOCIは「コミナティ」の優位点として、国産ワクチンを上回る95%という有効性や、高齢者グループでの接種実績、海外での大量使用実績を指摘し、国内での採用を有望視。2021年、2022年、2023年に40億2,000万元、54億6,100万元、47億元の売り上げを見込み、売上比率が10.2%、11.7%、9.2%に上ると予測している。

 一方、同社は2021年6月23日、「イエスカルタ」(axicabtagene ciloleucel)が再発難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を適応症とする新薬承認を獲得したと発表した。これは同社がライセンスインで取得した、CD19抗原を標的とするCAR-T細胞療法。国内初の承認とあって、BOCIは同社の製品群の進化を前向きに評価し、この先一段の刺激材料として、「イエスカルタ」の販売増と濾胞性リンパ腫への適応拡大を挙げている。

 2020年通期の売上高は303億700万元、純利益は36億6,300万元。新薬の販売増を追い風に、2023年にはそれぞれ508億100万元、64億6,500万元に達する見通しという。

 BOCIはDCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づき、目標株価を大幅に引き上げた(加重平均資本コストを8.2%、永久成長率を3.5%と想定)。現在株価は2021年予想PER(株価収益率)で28.4倍と、同業銘柄の中央値である18.6倍を大きく上回る水準。ただ、BOCIは製品候補群の潜在力や研究開発力の高さを前向きに評価し、プレミアム水準に値するとした。

 レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、新薬の販売ペースが予想を下回る可能性や、主要臨床試験が失敗に終わる可能性、業務提携の打ち切り、主要経営幹部の交代などの可能性を挙げている。