「安踏」ブランドの年平均25%の増収が目標、直販戦略がけん引

現地コード 銘柄名
02020

安踏体育用品

(アンタ・スポーツ・プロダクツ)

株価 情報種類

173.50HKD
(7/9現在)

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 中国のスポーツウエア大手、安踏体育用品は7月8日の「インベスターズ・デー」で、旗艦ブランド「安踏(ANTA)」の2020-2025年の小売売上目標を年率平均18-25%増に設定したことを明らかにした。DTC(消費者向け直接販売)の売上比率を2025年までに70%強、うちオンライン販売の売上比率を40%強に引き上げる方針(2020年は約40%、20%強)。さらに高機能志向の発展を目標に掲げ、ハイエンド化に向けたブランドの継続的な刷新を行うとした。一方、2021年4-6月期の販売統計を見ると、「安踏」ブランドの前期比の小売伸び率は、コロナ前の2019年との比較で加速傾向。BOCIは消費者インサイトの深化や収益性の向上を目指したDTC戦略を高く評価。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 経営陣は2020-2025年に小売ベースで年率平均18-25%の増収を確保するとともに、DTCモデルへのシフトを通じ、市場シェアを3-5ポイント引き上げる目標を明らかにしている。DTCに含まれるオンライン販売に関しては、年率平均30%強の伸びを目指し、「安踏」ブランド全体に占める割合を2025年までに40%まで引き上げる方針(2020年実績は20%強)。一方、2020年9月に始動したオフラインの実店舗でのDTC改革は、店舗の生産効率や採算性といった点で、経営陣の予想以上の成果を上げているという。BOCIは製品構成の高付加価値化や店舗配置の最適化、主にZ世代をターゲットとした新カテゴリーの発展が、店舗の生産効率の継続的な改善を促すとの見方だ。半面、東京五輪、北京冬季五輪に向けたブランディング投資の増大を予想。2021-2022年には、広告宣伝費の対売上高比率が2020年比で1-2ポイント上向くとみている。

 2021年4-6月の「安踏」の小売売上高は前年同期比35-40%増。2019年同期比でも35%超の伸びを確保し、1-3月の同10%台前半から加速傾向を示した。うちオンライン販売は2019年同期比で倍増以上の伸びを記録している。オフライン販路では値下げ率が縮小する中、4-6月の在庫は5カ月分と、ほぼ横ばいで推移した。経営陣は2021年通期の「安踏」の小売売上高の伸びが、目標の20%強を達成するとの自信を見せている。

 一方、「安踏」以外では「FILA」の小売売上高が4-6月に前年同期比30-35%増。2019年同期比では50%超の伸びを達成したが、1-3月に比べ減速した。ほかに、「デサント」が前年同期比100%超、韓国「Kolon」が40%と、こちらも1-3月比では減速傾向を示した。ただ、経営陣は販路の拡大などに伴い、デサントとKolonが高成長を維持するとみる。長期的には引き続き、マルチブランド戦略が成長エンジンとなる見通しという。

 BOCIはDTC戦略を受けた予想売上高の調整や相対的に低利幅の「安踏」の比重拡大による影響を加味し、2022年、2023年の予想純利益を7%、9%増額修正した。2022年予想PER(株価収益率)40倍をあてはめ、目標株価を上方修正。株価の先行きに強気見通しを継続した。