株も高いが金(ゴールド)も高い。7月の各種騰落率を確認

 7月に入り、NY金先物価格は、徐々に反発色を強めています(下図、赤丸参照)。

 6月16日(水)に、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が会見でテーパリング(段階的な金融緩和の縮小)を示唆したことでドルが上昇し、金(ゴールド)相場は、「代替通貨」の側面から下落圧力を受けて下落しましたが、足元、この時の下落にあらがうように、反発してきています。

図:NY金先物価格(中心限月) 単位:ドル/トロイオンス

出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

 また、以下の通り、7月のこれまでの値動きを変動率で比較すると、金(ゴールド)は、他の主要銘柄を上回る上昇を演じていることが分かります。この間の金の上昇率は、相次ぐ最高値更新で話題をさらっている米国の主要株価指数の一つ、ナスダックよりも高いことがわかります。

図:足元の主要銘柄の騰落率 (2021年6月30日と7月9日の終値で計算)

出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

 パウエル議長のあの会見後、幾度も「FRBは金融政策の方針を変えた」「今後はドル高がやってくる」「そして金(ゴールド)は買われにくくなる」などのニュースを目にしましたが、実際のところ、金相場は底割れせず、今では逆に反発してきているのです。

 イメージと実態が異なっているわけです。なぜ、下落するイメージが先行する中でも、金相場は反発できるのでしょうか。

 そして、この反発が継続し、1,900ドルや2,000ドルといった、かつて達したことがある大台に再び達する可能性はあるのでしょうか。本レポートでは、これらの点について、考察します。