2021年3月本決算は42%増益、高質の成長持続へ

現地コード 銘柄名
03998

波司登国際控股

(ボスドン・インターナショナル)

株価 情報種類

5.52HKD
(6/29現在)

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 中国のダウン衣料最大手、波司登国際はコスト効率の改善と平均販売価格の上昇を受け、2021年3月本決算で前年同期比42%の増益を達成した。同期純利益は17億1,000万元と、経営陣の事前の見通しやBOCIの予想をいずれも小幅に上回る水準。「旗艦事業とコアブランドに集約する」という戦略的な方向性が、利益率の拡大を伴う高質の持続的成長を支える要因となった。BOCIは目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 同社は自らを「世界一流のダウン衣料専門企業」と位置付け、ブランド主導型の発展モデルを追求している。BOCIは今後も、販路のシナジーの改善や小売事業のデジタル化、製品イノベーション、製品構成の改善を進めるとの見方。ブランド認知度の向上に伴うコアブランドの価格上昇と市場シェアの拡大を実現させる見通しを示した。コアブランドの平均販売価格に関する同社の目標は、現在の1,500-1,700元から、3年後には2,000元に引き上げること。市場シェアについては、現在の10%台前半から、短期的に20%超えを目指す。BOCIはまた、クイックレスポンスにより、販路レベルの在庫圧力の低減という成果を挙げている同社のサプライチェーン・マネジメントを高く評価している。

 2021年3月期決算は前年比11%増収、42%増益。ダウン衣料の売れ行きが予想ほど伸びなかったことで、売上高(135億元)はBOCIの予想を6%下回ったが、粗利益率が58.6%へ3.6ポイント改善した。主力のブランドダウン衣料は前年比13%増収と、BOCIの予想(27%増)から明らかに下振れ。売上全体に占める割合は前年の90%から89%へやや低下している。

 経営陣は2022年3月期について前年比10%台半ば(過去3-5年の年率平均値)の増収目標を掲げる。平均販売価格の上昇や直営店の販売比率の上昇が寄与する見通しという。

 BOCIは製品構成の高価格化やコスト効率の一段の改善を見込み、2022年3月期、2023年3月期の予想粗利益率を引き上げ、純利益見通しをそれぞれ10%、14%増額修正。予想増益率を前年比13.5%、13.8%とした。半面、ブランドダウン衣料の2021年3月期の売り上げが予想を下回ったとの理由で、2022年3月期の予想売上高を3%減額し、2023年3月期に関しては小幅に増額修正。それぞれ前年比17.0%、13.4%の増収見通しを示した。また、2021-2024年の利益成長率を年率平均18%とする予測に基づき、2022年予想PER(株価収益率)30倍(+1標準偏差)をあてはめ、目標株価を上方修正。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 この先のレーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、散発的な新型コロナの再燃、マーケティングコストの増大、予想外のダウンウエアの売れ行き低迷――などの可能性を挙げている。