通信網設備の市場シェア集約化が追い風、設備事業の利幅改善へ

現地コード 銘柄名
00763

中興通訊

(ZTEコーポレーション)

株価 情報種類

23.10HKD
(6/28現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 中国の通信キャリア最大手であるチャイナ・モバイルと、5G事業免許を持つ第4のキャリア中国広播電子網絡(CBN:未公開)が、700Mhzの無線ネットワークの入札を開始したもようだが、大手設備ベンダー3社だけがその落札者となることが予想されている。BOCIは通信キャリア向けネットワーキング設備市場の国内シェアが集約化に向かうとみて、これが大手通信機器メーカーである中興通訊の収益性の改善に寄与すると予想。2022年予想PER(株価収益率)17.6倍をあてはめて目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 有力ポータルサイト163.comの情報によると、チャイナ・モバイルとCBNは6月5日に共同入札を開始し、7月16日までに完了する見込み。この入札の対象は、5Gの700Mhz無線ネットワーク設備とアンテナ。最大48万局の基地局と、基地局アンテナ174万本を含む。基地局のうち、40万局は2021年内に設置を完了する予定という。また、この入札は3部に分かれ、まず第1部の対象となる基地局は19万局。第1落札者がうち61.1%を手中に収め、第2、第3落札者がそれぞれ28.8%、10.1%分を獲得する。また、入札の続く2部、3部の対象は、それぞれ19万局、10万局になるという。

 BOCIは700Mhz帯において、この先、市場シェアの集約化が進むとみる。通信機器のODM(相手先ブランドによる設計製造)を手掛ける国際企業1社が離脱するとみられることが理由。中興通訊が700Mhz帯の入札で2位の座を維持すると想定した場合、相対的に高い価格で全国14万9,000局(1-3部合計)の設置を受注することになる。

 一方、政府機関・企業向けビジネス部門の売り上げについては、前年比20%増を見込む。産業界のデジタル化やクラウドコンピューティング、IDC(インターネット・データ・センター)の急速な発展を背景に、ルーターやサーバー、企業レベルのファイバー伝送機器、データ通信機器などの需要が高まっていることが、通信機器全体の需要を支えているという。

 BOCIは2021-2023年の利益見通しの減額修正に伴い、目標株価を引き下げた。ただ、市場シェアの集約化に伴い、2021年以降、キャリア向けネットワーキング設備事業の粗利益率は38%に上向くとみる(2020年は33.8%)。BOCIの見方が市場と異なる点は、国際ODM企業1社の入札からの離脱が、中興通訊のシェア拡大に寄与するとみている点であり、同時にキャリア向けネットワーキング設備部門の利幅の改善にもつながると予想する。

 レーティング引き下げにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、通信キャリア向け設備供給ビジネスの価格競争による採算悪化の可能性を指摘。逆に、支援材料としては大手キャリアからの新規契約の獲得を挙げている。