貨物運賃は年内高止まりへ、ポストコロナのECビジネスを楽観

現地コード 銘柄名
00598

中国外運

(シノトランス)

株価 情報種類

3.30HKD
(6/23現在)

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 世界各地で新型コロナ感染が続く中、BOCIは海外各国の生産体制がまだ全面再開には漕ぎつけていないと指摘し、中国の輸出の好調と貨物運賃相場の堅調が2021年下期も続くと予想。こうした要因が中国のフォワーダー最大手、シノトランスのフォワーディング事業およびEC(電子商取引)事業の2021年の増収を支えるとみている。また、向こう3年間の同社の越境ECビジネスの発展を楽観視。現時点ではまだ、同事業の利益率をかなり控えめに見積もっていることに触れ、仮に利益率の改善傾向が見られれば、株価の一段の上昇余地につながる可能性があると指摘した。現在株価の魅力的なバリュエーションと配当利回りを前向きに評価した上で、2022年予想PER(株価収益率)7.7倍をベースに目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2021年1-3月期には業務量の回復と運賃相場の上昇が寄与し、売上高が前年同期比76.4%増の289億200万元に達した。BOCIは下期も運賃の高止まりが続くと予想。海外各国の経済活動の再開や景気刺激策を理由に、業務量についても楽観し、2021年通期のフォワーディング事業、EC事業収入の高成長見通しを示した。半面、ロジスティクス事業に関してはやや慎重であり、2021年中は緩やかな回復ペースが続くとの見方。プロジェクトビジネスを実行している一部海外地域で、新型コロナ感染をめぐる不透明感が続いていることをその一因に挙げた。

 ポスト・パンデミック時代について、BOCIは特にEC事業の高成長を見込む。ネット通販利用の浸透とその他事業部門とのシナジー効果が見込まれることが理由だ。ロジスティクス事業も成長潜在力を秘めるが、専門知識やリソースが必要であることや、高いノウハウを持つ競合他社の参入により、市場競争の激化に直面しているという。このほか、2020年通期に売り上げ全体の68%、営業利益全体の67%を占めた主力のフォワーディング事業は、主にアジアと欧州での経済協力関係の強化や運営面のアップグレードによる粗利益率の改善などから、堅調を維持する見込み。BOCIは同社全体の2021-2023年のEPS(1株当たり利益)伸び率が、年率平均8.6%前後に達するとみている。

 2021-2023年の売り上げ伸び率に関するBOCIの予想は、それぞれ前年比15.5%、1.4%、4.3%。営業費用の抑制やDHL-シノトランスなどから得られる投資収益の増加を理由に、増益率に関しては同13.1%、5.4%、7.5%との予測を示している。純利益率はこの先、段階的に上向く見通しという。

 BOCIは今後、ECビジネスの成長潜在力が焦点になるとの見方。また、高配当(2022年予想配当利回り5.2%)という同社株の魅力に触れ、株価の先行きに強気見通しを維持した。一方、今後のレーティング見直しにつながり得るリスク要因として、中国の輸出入が予想以上に鈍化する可能性と、越境ECが予想外に伸び悩む可能性を挙げている。