資産再編でA株上場へ、中国三峡新能源の上場で再評価に期待

現地コード 銘柄名
00916

龍源電力集団

(チャイナ・ロンユエン・パワー)

株価 情報種類

12.56HKD
(6/22現在)

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 龍源電力はこのほどM&A(買収や合併)提案に関する詳細計画を申請し、A株上場に向けてさらに一歩踏み出した。BOCIは資産買収および売却が完了した後のEPS(1株当たり利益)とROE(株主資産利益率)の上昇を見込み、この取引を前向きに評価している。また、主な競合となる中国三峡新能源集団(600905)がこのほど、上海A株市場にデビューしたことも、龍源電力の再生可能エネルギー事業の再評価を後押しするとの見方。目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 同社はこのほど、1,816ページ建てのM&A計画を深セン証券取引所に提出したが、BOCIによれば、これは事実上のA株目論見書。過去3年間の各子会社の経営指標が詳細に記載されているために、熟読すれば同社の競争力を理解することが可能であるとし、このリポートにおいては、提案された資産売却価格および買収価格の評価に焦点を当てた。

 龍源電力は親会社・国家能源投資集団(CEIC)の1.8GW相当の風力発電資産を現金58億元で買収する計画だが、この価格は同資産の2020年の実績PBR(株価純資産倍率)換算で1.37倍に相当する。半面、同社は深センA株上場企業、内蒙古平庄能源(000780)の石炭資産を34億元で親会社に売却する予定で、こちらは2020年実績PBR換算で1.1倍となる。親会社から取得する風力発電資産は2020年のROEが17%前後に上るなど経営指標の点で優れ、今回開示された報告書に基づくプロフォーマ分析によれば、この取引で同社のROE、EPS、BPS(1株当たり純資産)はそろって上向く見通しという。

 注目されるのは、今回の資産取引の後も、親会社CEICの手元には20.9GW相当の風力発電資産が残ること。親会社の強力な保有資産は長期的に、龍源電力の資産基盤の拡大を支える可能性があるという。BOCIによれば、今回のA株上場計画はまた、親会社からのさらなる資産取得に向けた資金を確保する点でもプラス。ただ、計画の実現には、臨時株主総会と当局による承認が前提となる。

 一方、中国三峡新能源(CTGR)が6月10日、上海A株市場に上場したことは、再生可能エネルギー銘柄全体に対する投資心理を後押しするが、龍源電力にとってはそれだけではなく、待望の「比較対照となる類似銘柄」の登場を意味する。約12GWの風力・太陽光発電能力を有するCTGRのA株デビュー直後のPBRは3倍強。このバリュエーションは香港上場のH株同業銘柄の支援材料となり、中でも大手で、かつA株上場を計画している龍源電力に最大の恩恵が及んだ。BOCIは短期的に、この要因が同社株の支援材料であり続けるとみる。

 BOCIは今のところ、同社の目標株価を据え置き、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、A株上場計画の予想外の遅れと、政策面で逆風が吹く可能性を挙げている。