Hungry Like the Wolf

 BLS(米労働省労働統計局)が6月5日に発表した5月の雇用統計では、NFP(非農業部門雇用者数)は55.9万人増え、失業率は5.8%に低下しました。雇用の内訳を見ると、外食・飲食部門を中心に、レジャー・サービス業が約30万人の大幅増加となっています。また、週の労働時間も低下しました。労働環境が改善されて「人手不足による従業員の残業」が少なくなったことを示しています。

 平均労働賃金は前月比、前年比とも上昇しています。新型コロナでレイオフされていた低賃金層の労働者が大量に職場に復帰したにもかかわらず、平均賃金が前月比で0.5%上昇したことは、経済再開に伴う労働需要の増加が賃金上昇圧力となっていると考えられます。ただし、賃金が高騰する兆候はまだ見られません。今はコロナ禍で最も打撃の大きかった業種で一時的な労働力不足になっているだけと考えられます。

 5月雇用統計で雇用者の増加が予想を下回った理由は、需要というより供給の問題でした。労働力の供給不足の原因のひとつに、良すぎる失業給付金が指摘されています。失業してもらえる給付金が給料より高いのだから勤労意欲が低下して当然かもしれません。そこで一部の州が、失業給付金の上乗せ金額の減額を実施しました。するとその途端に求人サイトの閲覧数が5%もアップしたということです。ようやく働く気になったアメリカ人が、一斉に仕事に戻って来るのか。今後の雇用統計は注目です。

 この給付金の終了に伴う再就職の人数は、タイミングの関係で7月の雇用統計には、完全に反映されないらしい。注目はその次、8月発表の雇用統計で、雇用増が一気に200万人増のサプライズもありえます。そうなれば、FRBの緩和縮小期待が一気に強まることになるでしょう。