6月10日に発表された5月の米国消費者物価指数は前年同月比で+5.0%と、4%台を通り越し、大幅な上昇となりました。物価が大幅に上昇してきている中、今回の米国のインフレが一時的か否かがここ最近ずっと言われていますが、「一時的」という言葉から皆さんが受ける印象と、実態とが違っているのではと思うところがあります。

 それはどういうことかというと、例として「足元で物価が5%上昇しているのは一時的だ。1年後には2%に下がる」と言われると、「1年前に100円だったものが5%上昇して105円になっているけれども、それは一時的で、1年後には102円に戻るんだ」という印象を持つのでは、ということです。

 実態は異なっていて、1年前に100円だったものが、5%上昇して現在105円、1年後は2%上昇するので107.1円となります。

 物価が上昇しているのはあくまでも米国での話ですが、102円であれば生活に対する影響は少ないけれども、107.1円となると、コロナ禍において、仕事だけでなく生活面でもきつい状況に追い込まれる方が増えてしまうのではと思います。

 さすがにこのところの物価上昇を意識するように、6月15~16日に開かれたFOMC(米連邦公開市場委員会)で公表された経済見通しにおいては、あくまでもメンバーによる金利予想ですが、利上げの時期がこれまでよりも早まる方向となっています。

 テーパリングや利上げ時期を予測する上では今後の物価動向は重要なので、しっかりと米国の消費者物価指数とPCEデフレータについてチェックしていきたいと思います。