5月米雇用統計は、どう評価するべきか?


 BLS(米労働省労働統計局)が6月5日に発表した雇用統計では、5月のNFP(非農業部門雇用者数)は55.9万人増え、失業率は0.3ポイント低下して6.1%になりました。雇用の内訳を見ると、外食・飲食部門を中心に、レジャー・サービス業が約30万人の大幅増加となったほか、教育部門や医療部門も好調でした。

 5月の労働力参加率は61.6%とほとんど変化がなく、2020年6月以降61.4%から61.7%の狭い範囲で推移しています。雇用人口比は58.0%で、こちらも5月はほぼ横ばいでしたが、2020年12月以降から0.6ポイント上昇しています。

 非農業部門雇用者の増加数は、前月の27.8万人を上回りました。また、週の労働時間が低下したことは、人手不足による従業員の残業といった環境が改善されていることを示しています。労働力の供給不足が徐々に解消されつつあることを示す結果となりました。

 今回の雇用統計は、コロナ禍から立ち直ろうとしている雇用市場の健闘ぶりを示したといえます。米経済は回復している。ただ、熱狂的な勢いでもない。雇用市場全体が底上げされ、FRB(米連邦準備制度理事会)が期待しているような、月間100万人の雇用ペースが実現するのはしばらく先になりそうです。