アドバンスト・マイクロ・デバイシス(AMD)

1.2021年12月期1Qは92.9%増収、営業利益3.7倍

 アドバンスト・マイクロ・デバイシス(以下AMD)の2021年12月期1Q(2021年1-3月期、以下今1Q)は、売上高34億4,500万ドル(前年比92.9%増)、営業利益6億6,200万ドル(同3.7倍)となりました。

 セグメント別に見ると、コンピューティング&グラフィックス(パソコン用CPU、GPU)の今1Qは、売上高21億ドル(同46.0%増)、営業利益4億8,500万ドル(同85.1%増)と好調でした。営業利益率は前4Q21.4%から上昇し今1Qは23.1%になりました。パソコン用高性能CPUのRyzenシリーズとGPUのRadeonシリーズのいずれもが好評で、大幅増収増益となりました。

 また、エンタープライズ・組み込み・セミカスタム(サーバー向けCPU「EPYC」シリーズ、PS4、PS5用、Xbox用CPU、GPU、各種組み込み半導体)は、売上高13億4,500万ドル(同3.9倍)、営業利益2億7,700万ドル(前年同期は2,600万ドルの赤字)となりました。EPYCはマイクロソフトのAzureやアマゾン・ウェブ・サービスなどの大手クラウドサービスで採用されており、これが大幅増収に結び付いたもようです。

 PS5、Xbox series X/S向けCPU、GPUも好調だったと思われます。ただし、今後の伸びは生産委託しているTSMCの生産能力増強次第と思われます(AMDもエヌビディア同様ファブレスで、製品の大半の生産をTSMCに委託しています。そのため、TSMCの能力増強がAMDの業績に大きな影響を与えると思われます)。

表4 アドバンスト・マイクロ・デバイシスの業績

株価 80.28ドル(2021年6月3日)
時価総額 97,380百万ドル(2021年6月3日)
発行済株数 1,231百万株(完全希薄化後)
発行済株数 1,213百万株(完全希薄化前)
単位:百万ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:EPSは完全希薄化後(Diluted)発行済株数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前(Basic)で計算。
注3:会社予想は予想の中心値。

表5 AMD:セグメント別業績(四半期)

単位:百万ドル、%
出所:会社資料より楽天証券作成

表6 AMD:セグメント別業績(通期)

単位:百万ドル、%
出所:会社資料より楽天証券作成

2.2021年12月期、2022年12月期楽天証券業績予想を上方修正する

 今2Qの会社側ガイダンス(売上高のみ)は、売上高36億ドル(前年比86.3%増、レンジの中心値)となっており、会社側は引き続き大幅増収を予想しています。2021年12月期通期でも今回の会社側ガイダンスは約50%増収(146億ドル)となっており、前回の約37%増収(134億ドル)から上方修正されました。

 楽天証券では、今1Qまでの実績と今2Q、通期の会社側ガイダンスを参考にして、2021年12月期、2022年12月期業績予想を上方修正します。2021年12月期は、前回の売上高140億ドル、営業利益23億ドルを、今回は売上高150億ドル(同53.6%増)、営業利益32億ドル(同2.3倍)に、2022年12月期は、前回の売上高190億ドル、営業利益36億ドルを、今回は売上高200億ドル(同33.3%増)、営業利益46億ドル(同43.8%増)に上方修正します。

 引き続き好業績が予想されます。

3.今後6~12カ月間の目標株価は、前回の100ドルを110ドルに引き上げる

 AMDの今後6~12カ月間の目標株価を110ドルとし、前回の100ドルから引き上げます。2022年12月期の楽天証券予想EPS 3.14ドルに、成長性を評価した想定PER35~40倍を当てはめました。

 AMDは足元の業績は好調ですが、パソコン、サーバー用CPUの将来には競争激化の懸念があります。インテルは2021年、2022年は現在インテルにとっての最先端ラインである10ナノラインの増強でしのぎ、2023年から現在構築中の7ナノラインでのCPU生産を開始する計画です。この場合、10ナノ、7ナノを合わせるとインテル製CPUに大きな供給能力が出来ることになります。

 またエヌビディアは、2022年初頭にアーム買収が完了するならば、その数年後にアームアーキテクチャーを使ったパソコン、サーバー用CPUへ進出する可能性があります。すでにエヌビディアは 2021年4月に、大型AIシステムを駆動するCPU「Grace(グレイス)」(性能は今の同じ目的のCPUの10倍)を発表しました。グレイスを搭載したスーパーコンピュータは2023年に稼働開始予定ですが、この延長線上にはパソコン、サーバー用CPUへの進出意欲があると思われます。

 また、アップルが2020年11月に発売したM1(世界で最初のパソコン用5ナノチップセット)搭載のMacPCが好調で、アップルは高性能チップセット搭載パソコンの販売を強化すると思われます。

 このような動きの中で、AMDの株価は好業績にもかかわらず頭を抑えられた状態になっていると思われますが、株価には割安感も出てきました。楽天証券業績予想をベースにすると、2022年12月期予想PERは20倍台に下がっています。この割安感を見ると、引き続き中長期で投資妙味を感じます。

本レポートに掲載した銘柄:エヌビディア(NVDA、NASDAQ)アドバンスト・マイクロ・デバイシス(AMD、NASDAQ)