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 民間版雇用統計であるADP雇用データが昨日発表されましたが、結果は97.8万人で予想(65.0万人)大きく上回る強さ。一方、前週分の新規失業保険申請は38.5万件(予想39.0万件)、失業保険継続受給者数 377.1万人(予想 361.5万人)でミックス。非製造業ISMは64.0(前回63.0)でこちらは強い。

 雇用市場の動向はFRB(米連邦準備制度理事会)でも見方が分かれていて、ダラス連銀は、5月の雇用者数は「前回と同じような残念な結果となる可能性が高い」と悲観的。一方、アトランタ連銀は「月100万人近いペースで雇用が増加することもありえる」と強気。セントルイス連銀総裁も「雇用統計は見かけより強い可能性がある」として、弱気になりすぎることに警戒しています。

 米国の労働市場は、全失業者に占める一時レイオフ(失業)の割合が高いのが特徴で、一時レイオフ労働者の再就職率は、他の失業者の2倍以上になります。そのため100万人以上の労働者が、極めて短期間のうちに復帰する現象が起きる可能性があります。もちろん、その逆もあるわけです。

 コロナによる学校閉鎖も失業率に影響を与えています。教職員など直接関係のある人だけではありません。10歳かそれ以下の子供を持つ働き手の労働力参加率が、昨年低下したまま現在も低迷しているのです。特に10歳以上の子供を持つ人との差が目立っています。

 しかし、今後、学校での対面授業が増えるにつれて、家で子供の面倒を見ている人たちが再び労働市場に参加できる機会が増えると考えられます。試算によると、学校が完全に再開された場合、子供を持つ労働者約100万人が労働力として復帰できる可能性があります。