発行主体のない自由な通貨

 ビットコインは、インターネット上でやり取りする「価値を持ったデジタルデータ」である仮想通貨の一種であり、通貨単位は「BTC」と表記されます。データであるため、紙幣や硬貨といった実体は存在しません。

 また、発行・流通にどこの国も企業も関与していないことも大きな特徴のひとつです。
たとえば、日本円や米ドルのような法定通貨は、各国の中央銀行(日本は日本銀行、米国は連邦政府準備理事会)が発行と管理を行い、基本的には発行する国で利用され、発行上限は決められていません。しかし、ビットコインにはそのような発行主体は存在しません。世界中の不特定多数の利用者や参加者が相互に管理と監視を行い運営している、国や国境に縛られることのない自由な通貨であり、「世界共通通貨」となる可能性を秘めていると期待されることもあります。

 

発行枚数上限が設定されている

 ビットコインはその誕生時の設計により、およそ2,100万BTCという発行枚数の上限が決められており、2140年頃にその上限値を迎えます。発行枚数の制限はインフレの予防や価値の維持につながります。今はまだ価格の増減が激しく投機対象となりやすいビットコインですが、上限が近づくにつれ価格も安定し、さらに普及していくだろうと予想されています。上限に達した後のビットコインは、新規発行はされませんがデータ保管は続き、取引を続けることができるとされています。

 

信頼と安全はどうやって担保されているのか?

 ここまで読むと、管理者不在であるビットコインを本当に信用できるのか、という疑問がわいてくると思います。ビットコインの信頼性と安全性は、ビットコインの生みの親といわれるサトシ・ナカモト氏の発明した「ブロックチェーン」という技術により、担保されています。

 ビットコインの根幹をなす技術である「ブロックチェーン」は、簡単にいうと、ビットコインの取引記録を10分ごとに1つのブロックという単位の暗号化情報にまとめ、それを1本の鎖(チェーン)のようにつないで保管していく技術のことです。

 この取引データはビットコインを利用しているすべてのコンピュータに保管されます。世界中の不特定多数のコンピュータにデータのバックアップがある、そんなイメージを思い描いていただいてもいいと思います。

 保管された取引記録はすべて1本のチェーンでつながっているため、どこかのデータを改ざんしようとするなら、保管してあるすべてのデータを書き換えなければなりません。前述した国を主体とする法定通貨の中央集権システムは、メインとなるコンピュータがハッキングされれば取引データは容易に偽造されてしまいますが、ビットコインは取引履歴が世界中に分散しているのでそのすべてを把握しそのすべてを改ざんすることは事実上不可能です。つまり極めて強固な安全システムを持った通貨といえるのです。

 これは「分散型台帳」とも呼ばれ、利用者は相互に記録を監視し合い取引データの不正を防いでいます。

 

まとめ

 それでは、ビットコインの基本を整理してみましょう。

  1. 管理者がいない(不特定多数の利用者・参加者の相互管理)
  2. 実体なし(紙幣や硬貨ではなくデジタルデータ。決済の履歴)
  3. ブロックチェーン技術で安全と信頼を担保
  4. 発行枚数の上限が決められている(おおよそ2,100万BTC)

 日本ではすでにビットコインは「物」ではなく「通貨(決済手段)」として認められています。デメリット情報が先行していたビットコインですが、そのメリットに注目が集まることで、さらなる広がりを見せています。