株式投資をしていると、保有している上場株が運良くTOB(株式公開買付け)されることがあります。TOBによって「プレミアム」が付与されると、想定以上の利益につながる可能性が高いです。
ということは、TOBされる銘柄を狙って投資すれば、効率的に利益を得られるはず。ではTOBされる銘柄は、どうやって探したらいいのでしょうか? またコロナ禍という特殊な環境下において、TOB銘柄狙いで投資をしても問題ないのでしょうか?
M&Aコンサルティングに携わり、20件超の成約実績を持つ筆者が、TOBの基本や2020年に行われたTOB案件について解説。これまでの事例から、2021年にTOBされる可能性のある銘柄に関して言及します。
TOBとは?
「TOB(Take-Over Bid)」はM&A・企業買収の一種で、株式の公開買付けを行うことです。対象企業株式の買付けを実施する事実やその買付期間、買付価格、買付予定株数などを公表し、証券取引所を通さずに既存株主から株式を買付けます。
このとき、買収側の企業(以下、買主)と買収される側の企業(以下、売主)とが友好的にTOBを進めている案件が「友好的TOB」、双方が対立しているTOB案件が「敵対的TOB」です。
友好的TOBの場合は、双方の合意の上で株式譲渡を進めますが、敵対的TOBの場合は、こうした合意がない状態で、買主が一方的に株式取得に向けて動きます。
2020年に実施されたTOBは計60件、うち敵対的TOBは5件でした。全体的には友好的TOBが圧倒的に多いことが分かります。
TOBする側の目的は、株式取得による「経営権の獲得」。そして企業を買収することで自社の価値を高め、今後の事業展開を有利に進める効果を期待しています。