TOBされる可能性がある銘柄5選

 では前のページで挙げた条件を満たす銘柄は何でしょうか? 2021年にTOBされる可能性のある銘柄を5つ紹介します(2021年3月30日時点でのデータに基づいて選定)。

1.広栄化学(4367)(親会社:住友化学)

 広栄化学は東証二部に上場している、住友化学系の含窒素化合物メーカーです。時価総額は136億円、PBRは0.68倍と0.7倍を切っています。

 親会社の住友化学は、コロナ禍の影響から2021年3月期の通期連結業績を一度下方修正しましたが、2021年4月26日にこれを上方修正しています。前期に17円出していた配当も、一度は12円に変更したものの、今回15円に修正。

 業績の復調が予想されるため、戦略的なTOBが実施される可能性はゼロではないでしょう。

2.名鉄運輸(9077)(親会社:名古屋鉄道)

 名鉄運輸は名証二部に上場している名古屋鉄道傘下のグループ会社で、一般貨物の運送業や引越し業を展開する企業です。時価総額は147億円、PBRは0.41倍と低水準になっています。

 親会社である名古屋鉄道が発表した2021年3月期の第3四半期決算を見ると、コロナ禍の影響から純利益が13期ぶりの赤字に転落しています。配当も前年度は15円でしたが、今年度は無配の予定です。

 名古屋鉄道はコロナ禍の影響で経営は一時的に厳しい状態になっていると言えますが、名古屋の地場企業として大きな影響力を持つ企業である以上、何かしらの手段を講じて業績回復を目指すのは明らかです。そこでTOBが実施されることがあるかもしれません。

3.伊勢化学工業(4107)(親会社:AGC)

 伊勢化学工業は東証二部に上場する、ヨウ素や天然ガス、金属化合物を生産する化学メーカーです。時価総額は166億円、PBRの計算は0.67倍となっています。

 親会社のAGC(旧・旭硝子)の2020年12月期通年の決算短信によると、連結での当期純利益は411億円と、前年度の555億円には及びませんでした。しかし年間配当額は120円をキープしており、復調が期待できる水準だと考えられます。

 AGCは今回挙げた5社の中で、最も時価総額や手元のキャッシュが大きい企業です。財政基盤の安定性は信頼できるでしょう。

4.エストラスト(3280)(親会社:西部ガスHD)

 東証一部上場銘柄のエストラストは、山口県に本社を置く不動産会社です。分譲マンションの販売や販売代理業務、不動産仲介業務などを行っています。時価総額は42億円、PBRは0.68倍です。

 親会社の西部ガスホールディングス(以下、西部ガスHD)は、2017年にTOBを経てエストラストをグループ会社化しました。

 西部ガスHDの2021年3月期の決算短信を見ると、連結での経常利益は48億円と、前年度の75億円を下回っています。ただ年間配当額70円は変わらず、連結での総資産額は微増している状況。今後戦略的にTOBを仕掛けるかどうか、注目しておきたいところです。

5.KHC(1451)(親会社:日本アジアグループ)

 KHCは兵庫県を中心として、住宅用地の分譲や戸建注文住宅の設計施工を行っています。時価総額は23億円、PBRは0.44倍と相当割安な状態です。

 ただ親会社の日本アジアグループは、2020年11月にグリーンホールディングスエルピーによるMBO(経営陣買収)が不成立、2021年2月からは旧村上系投資会社のシティインデックスイレブンスから敵対的TOBを複数回仕掛けられるなど、混乱が続いています。

 日本アジアグループが買収されずに残ったとき、KHCを子会社化して企業基盤の充実を図る可能性があるかもしれません。

まとめ

 今回は過去事例を元に、TOBされる銘柄の条件についてご紹介しました。TOBされる銘柄を狙って投資を行えば、30%前後のプレミアムが得られる可能性があります。あくまで予測ではありますが、今後の株式投資の参考にしていただけたら嬉しいです。

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渡邉 広康(公認会計士/税理士)

▼Profile
一橋大学商学部を卒業後、有限責任監査法人トーマツ(Deloitte Tohmatsu)に入社。その後株式会社リヴァンプに従事した後、株式会社ユニヴィスコンサルティングを創業。UNIVISでは、M&A関連業務(FA、DD、Valuation、PMI)及び管理会計関連業務(管理会計導入支援、事業計画策定、予実管理)を行っている。
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