つみたてNISAの資料、確定拠出年金の法改正議論のデータで長期・積み立て・分散投資の勝率を確認
長期・積み立て・分散投資のシミュレーションでよく引用されているのは、つみたてNISA創設時に金融庁が出した試算です。
つみたてNISAのパンフレットに紹介されているのは、国内外の株式と債券に25%ずつ投資をしたシンプルな分散投資モデルを作ったとき、運用収益のレンジ(幅)がどうなるか、提示しています。現在公開されているパンフレットでは、データ取得期間を1985~2020年としています。
この資料では5年の積み立て投資ではマイナスの運用で終わることが15%くらいあるものの、20年の積み立て投資ならほぼ確実にプラスで終わることが示されています。
しかも運用成績も年2~8%のレンジにあり、おおむね6割弱の確率で年4~6%の利回りになっていることが示されています。
長期・積み立て・分散投資といえば、確定拠出年金の運用も同じアプローチです。こちらについても、厚生労働省の審議会(確定拠出年金の運用に関する専門委員会)の議論に際して分散投資に関する資料が提出されています。
デフォルト商品(運用未指図者の自動購入される金融商品。米国の401[k]では原則として投資信託が選ばれる)の法整備に際して、臼杵政治委員(名古屋市立大学教授)が提出したものです。
こちらについては、2020年末までアップデートされたデータが最近、ニッセイ基礎研究所のウェブサイトに公開されているので、そこから読み解いてみましょう。
国内外への長期・積み立て・分散投資、勝率は100%
こちらは分析期間を1980年1月~2020年12月末としてシミュレーションされています。41年間にわたるデータです。
そして20年の積み立て投資の結果として、国内外4資産への分散投資については、元本割れする確率は0%であったことが示されました。これはNISAの資料と同じです。
こちらの資料では「国内株のみ(TOPIX[東証株価指数]配当込み)」「外国株(MSCIコクサイ)」「定期預金(1年)」で投資をした場合もデータが示されていて、「分散しなかった場合」や「投資をしなかった場合」の可能性も見ることができます。
残念ながら、国内株のみに投資をしたモデルのみ、元本割れに終わる可能性が42%もあったようです。やはり国内外へ分散しないことのリスクが高いことがうかがえます(それでも平均収益率は年7%になります)。
ちなみに国内外4資産への分散投資については、同期間の平均収益率を6%としているので、リスクとリターンのバランスで考えても、国内株式への投資はリスクが偏っているといえます。